ナポレオンとカール大公:アスペルン・エスリングのルールを読む

案に相違して(苦笑)、アーベンスバーグが良かったので、アスペルン・エスリングのルールを眺めています。

細かいルールの差分をチェックするのは大変だし、改訂されているならデザイナーは新しいルールの方が良いと考えていると思うのでアーベンスバーグのルールでやろうかと。

ただし、シナリオルール的な部分はアーベンスバーグ和訳の追補として訳そうかと思っています。

アスペルン・エスリングは、ナポレオン軍が渡河中にオーストリア軍の強行戦闘を受けて敗北し、ナポレオン自らの野戦での最初の敗北として知られています。

このため、フランス軍は全部盤外増援としてダニューブ川を渡って登場します。このダニューブ川に掛かるポントゥーン橋が春の増水とオーストリア軍の工作によって戦闘中に頻繁に破損して渡河が中断したルールがあります。

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うーむ、これは極端なシチュエーションのゲームですね。

逆に、セットアップユニットが少ないので、とりあえず並べて始める負荷は低そうです。

☆結晶星団を読む

小松左京、短編振り返り特集、第3弾。

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ハルキ文庫の結晶星団です。

収録作品は、

結晶星団

星殺し

飢えた宇宙

宇宙に嫁ぐ

サテライトオペレーション

神への長い道

歩み去る

劇場

雨と、風と、夕映えの彼方へ

氷の下の暗い顔

 

となります。宇宙編アンソロジーです。

さすがの読み応えですが、正直言って質・量ともに重すぎるかも(笑)。

中村セレクションには、

結晶星団

雨と、風と、夕映えの彼方へ

氷の下の暗い顔

の3作品が入っていますので、まずそこから。

「結晶星団」は、

14個の恒星が6角柱の結晶状に配列されている大宇宙の奇跡。その中心部に謎の暗黒質量が‥というお話しです。ネタバレしてしまいますが、実は宇宙の進化の中で可能性を実現できなかったものたちが封印されているというのです。

本書の終盤4作品は、そっくりカドカワの短編集「氷の下の暗い顔」を収録しています。この短編集は「ゴルディアスの結び目」の続編的な位置付けの本格SF短編集なのだそうです。知りませんでした。

「雨と、風と、夕映えの彼方へ」は、

遭難した宇宙船乗りが、一緒に遭難した男といると男の頭上の何もない空間から雨が降りだし、ついには滝のように流れ落ちて、気付くと男は消えていたという第一場。

第二場では、今度は救助に来たかと思ったら自分も遭難したという男が現れて、その男のいる所では常に風が吹いているという。

お判りの通り、第三場では、別の宇宙人が現れて永遠の夕映えを見ることに。

ネタバレしてしまうと、ここは物質が縮潰するブラックホールと対になる想念が凝縮するイマジナリーホールだという。

「氷の下の暗い顔」は、

銀河系から遙かに離れた氷惑星の氷の下に8kmに及ぶ巨大な顔があるというお話し。ビーバーに似た原住民が暮らす、この惑星は、お伽噺が現実になるかのような奇妙な惑星で、動物と植物の境界がなく、また互いに彼らは想念を伝え合えるという。そして、惑星にたった一本だけ残っている「木」に話しを聞きに行くと‥。

 

中村セレクションはさすがだなという気がしました。

「神への長い道」も著名な作品ですが、中村セレクションには入っていません。確かに厭世観ただよう作品で、読後感が良くないので入れなくて正解かと。

「歩み去る」も、「氷の下の暗い顔」からの一篇ですが、これは面白かったです。地球の歩き方みたいに何かを探し求めて旅をして消えてしまう若者たちの話しです。これも文明の終結点の話しではあるのですが、非常に明るくてあっけらかんとしています。

「飢えた宇宙」は、一種の密室ミステリー。宇宙船は密室の一種ですが、そこで食糧庫が空であることを見つけたクルーたちは、一人また一人と姿を消して‥。

テルアビブオンファイアを見る

WOWOWです。

そうか、WOWOWでやるほど一般的な世間評に上ったのですね。素晴らしい。

シネマカリテで見て以来ですが、楽しく見られました。

雑用係から脚本家に抜擢されたは良いが、様々な思惑の交差する中で板挟みになり苦戦する主人公サラーム。彼が思いを寄せるマリアムにデートを申し込みながら、主演女優の我儘でキャンセルせざるを得なくなる場面は、何というかじれったくなってしまいます。

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衣装係にしては妙に奇麗なマイサが、実は主演女優の座を狙っていてサラームに積極アピールしてくるのも、羨ましいようで困ってるんだろうなと思ったり。

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パレスチナ問題を扱っていて、とりわけドラマのエンディングをどうするかには問題が影を落としているのですが、深刻に過ぎることはなく軽快に見られます。最後にサラームが、アッシに提案した仰天の結末やいかに。

お薦め映画だと思います。

ナポレオンとカール大公をソロプレイする

やって来ました、アーベンスバーグ! ←パチパチパチ

まずセットアップの遠景です。

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手前がナポレオン率いるフランス軍。奥に見える赤と青の猿遊会ビーズが勝利条件のGrosser Leber 線です。マップの長辺を半分強ほど押し進まねばなりません。

遠い。

しかも見ての通りで、森と丘がびっしりのマップです。

3ターン程ソロプレイしました。

うーん、前評判が悪かったせいか、失望するようなことはなく、まぁまぁなんじゃないかと思いました(苦笑)。

プレイヤーターンの最初に、指揮系統をチェックします。

軍司令官(ナポレオン、ルイ大公)から軍団司令官へ、軍団司令官から師団司令官へ、師団司令官から各ユニットへと3段階を順に降りて行きます。

軍団司令官や、師団司令官が、指揮範囲外にいる場合は自分の指揮値をチェックして、自律的に指揮を実施するかを判定します。

指揮判定にも失敗すればアウトオブコマンドです。

指揮が必要なのは、重要な2つのアクションです。

1:敵ZOCに進入する

2:敵ヘクスに突入してメレーする

単に指揮範囲内にいるだけではダメで、当該指揮官の指揮値までのユニット数しか、移動(上記1)、戦闘(上記2)のそれぞれのフェイズに上記を実施できません。

最終的な師団長の指揮値は2とか3なので、それだけのユニットしか新たに接敵、白兵戦攻撃できないのです。

戦闘は、射撃とメレーがあります。射撃は、歩兵1ヘクス、砲兵5へクスの射程です。ファイアーパワー方式で実施し、相手に戦力ロスを与えます。戦力ロスは、ロースターパッドで記録し、戦力が減少していくと、それに応じてモラルが低下します。

メレーは、同一へクス内解決。双方の戦力を戦力比にして、モラル差や地形でコラムシフトします。戦闘結果は、1ヘクスフォールバック(F)、混乱(D)、潰走数へクス(R#)などで、双方に同時に発生することもあります。メレー自体はロスを発生しませんが、潰走した時に追撃されるとロス発生します。

やってみて思いますが、なにせかにせ、いちいちロースターを見ないと戦闘が解決できません。1ターンに発生する射撃とメレーは10を越えるくらいなので、ものすごく時間が掛かります。

ゲームシステム的に機能していないとは言いません。しかし、とってもゆっくりとしか機能しません(笑)。

その一方で、部隊、さらにはフォーメーションが、摩滅し、その結果としてモラルが蝕まれていく感じは、やはりいきなりユニットが全滅するシステムのゲームにはないものがあります。これが時代の空気感を産んでいるのは否定できません。個人的には、嫌いじゃないです。

ただ、この時間の掛かり方だと、エックミュールと連結してプレイとかは、論外な感じはします。

結論として、このスケール、この時代のゲームとしては、合格点なのではないかと思います。傑作とは言いませんが、ナポレオニック好きなら一度プレイしてみる価値はあると思います。

画像をもう一枚、フランス軍が押し込んで迂回しようとしている最右翼です。

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ナポレオンとカール大公の和訳を完成する

アーベンスバーグの和訳(抄訳)を完成しました。

デザインセンスとしてはいろいろと筋が悪そうな感じですが、此処まで辿り着けばソロプレイは目前です(苦笑)。

アーベンスバーグはナポレオン軍がオーストリア左翼を押し込んだ部分になるので勝利条件的には、フランス軍がGrosser Leber 線を越えることを要求しています。

戦闘システム的に、どのくらい前進できる手応えなのかやってみないとなんとも言えないので、そこは楽しみにしています。

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イスタンブールをソロプレイする2

システムは理解できたので、今度はタイルのランダム配置に挑戦してみました。

うーむ。タイル配置が変わると、良く使われるタイル界隈が変わってくるので、プレイ展開が異なってきます。このヴァリエーションだけでもリプレイアビリティは確保されている気がします。

ただ、ルビーを手に入れる手法としては、前述した2種類かないことに変わりはありません。

そういう意味では、同梱されている拡張「手紙と印章」を入れて、第3のルート、印章集めが入るとどうなるのか見てみたい所です。

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キレがない感じは、やはり強いです。キレがないので、鮮やかな技が決まって劇的には終わりません。少しの効率の高さを積み上げて少し逃げきる感じです。これがまた「キレがない感」を助長している気もします。

キレがないからと言って、別につまらないと言っている訳ではありませんので念のため。

ただ、個人的な好みとして、どちらか一つしか無人島に持って行けないと言われたら「ゴア」の方を持って行くと思います(笑)。

イスタンブールをソロプレイする

早速、ルールを読んでみましたが、ちょっとピンと来ない。

で、結局、ボードゲーム、レビューサイトを参照しました。

https://www.tk-game-diary.net/istanbul/istanbul.html

なるほど。

一番大事なことは、自分の商人+助手スタックを移動して、移動先で助手を分離するか回収しないと、場所の機能を使えないということです。そこが、ルールブックでは、今一つ判然としませんでした。

ワーカープレイスメント的なのですが、タイルを組み合わせたボード上を移動するスゴロクと組み合わせてあるのです。で、移動する度に助手を置いていくと、すぐになくなってしまうので、既に助手のいるマスを再訪して回収するか、噴水に行って全回収しなければなりません。

このルールの都合で、プレイヤーごとに使用するタイル界隈が違ってきます。ワーカープレイスメントと違って、同じタイルに複数人が入れますが、入ると後から来た人は先客に場所代を払わねばなりません。

ゲームは最終的にはルビーを5個集めることが目的です。

ルビーを入手するには、多額の現金を集めて買う、商品を指定された組合せ集めて交換するの2種類です。現金を稼ぐには、商品を仕入れて売るか、茶屋で賭けをするかが主になります。

場所タイルが16枚あって、全て能力が違います。これに加えてボーナスカード、特殊能力を得られるモスクタイルなども入手でき、典型的な複雑系ユーロゲームです。

特殊な基本概念を理解してしまえば、それほど難しくはありません。

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強いて言えば、同じような作業の繰り返しになってからの寸が長すぎるかなと言う気がします。そのため、ややキレに欠ける感じがするでしょうか。