初恋の悪魔を見る

最終回まで無事に終りました。

かなり良かったと思います。

連続殺人事件捜査物であるのですが、捜査権のない警察関係者の仲間4人で自宅捜査会議を開き、「マーヤーのヴェールを剝ぎ取るのだ」を合言葉に全員で眉間にしわを寄せて真剣に考えます。

これに真犯人を隠すために冤罪を懸けられた満島ひかり、殺された毎熊克哉、真犯人を隠すために暗躍する伊藤英明らが絡んで、なかなか難しい構造物でした。

しかし、最後には奇麗に全てが解決して、さすがは坂元裕二と思わせてくれました。

松岡は非常に難しい二重人格の演技を演じ切りました。その一方の人格の親友である満島ひかりが、今は発現していない方の人格に話しかけるシーンは二人とも極度に難しい演技と思いますが、ちゃんと製作意図通りに見えていて二人とも芸達者と思いました。

残念ながら視聴率的には負けた感じ(最終回4.6%)なのですが、視聴率では測れない佳作だったと思います。

次番組が、正直不動産をやった根本ノンジ脚本だというのでどうしようか考え中です。

ダークサイドミステリー:美しき処刑人が見たフランス革命を見る

ダークサイドミステリー選の最終回。
フランス革命時に、ルイ16世やマリー・アントワネットを処刑した、処刑人を家業とするシャルル・アンリ=サンソンのお話しです。
と言っても、彼を視点に据えてフランス革命が血で血を洗う紛争となっていった過程を見るという感じです。
フランス革命と言えば、ワレスの「リベルテ」がすぐに思い浮かぶわけですが、敵方の有力人物を相互にギロチン送りにしていく血で血を洗う内部紛争という感じが良く出ていました。

bqsfgame.hatenablog.com

ただ、フランス革命を俯瞰する番組としては情勢分析など物足りない感じがあり、処刑人の憂鬱を語る番組としては「一部、正確性に欠ける描写がある」との指摘がネットに出ています。
最終回に持ってくるなら、もう少し完成度の高いものをと思いますし、それを目指すのがテーマ的に難しいのだとすればテーマ選定の段階で熟慮が足りなかったのかなと思います。

総合評価、志は買えども☆は与えられず。

巨人の欲しい欲しい病の成果は?

というネット記事が出ていて、下表が良くまとまっていたので切り出してみました。

この20年で獲得したFA選手は、実に16人。二人獲得した年が実に7年もあります。お金があるんですねぇ。うらやましい限りです。

ただ、成果となると大いに疑問。

内海を出してまで獲得した炭谷は気が付けば既に楽天に。巨人ではほとんど活躍しませんでした。

リストを見ると、当時は批判されていたものの、さすがに杉内は数字を出した方に入ります。

中日ファンとしては、前田幸長を持って行かれたのは痛恨でしたが、野口などはむしろ良くぞ引き取ってくれたものだと思います。直接ではありませんが迂回して行った門倉もほとんど働いていません。

直近の梶谷と井納の2丁取りも、全然サッパリですね。

これでもまた今年の秋には大型補強をするのでしょうか。

巨人で活躍している主軸やエース、クローザーの顔ぶれを見ると、ちゃんとドラフトで採って生え抜きで育てた方が良いというのは自明だと思うのですが、フロントはそうは考えないのでしょうか。本当に不思議です。

純愛ディソナンスを見る

終りまで来ました。

女子高生と音楽教師の禁断の恋から始まって、あっという間に5年後にタイムワープ。

そこからの愛憎劇は現代日本版「モンテクリスト伯」と言った感じでした。

ちょっとリピーティティヴな感じもありましたが、まずまずの面白さでした。

ご本人のインスタで、比嘉愛未さんが「愛菜美という役について、最初は距離を感じたが演じるにつれて愛おしくなっていった」と語られていて、「そうなんだ」と思いました。

どんど晴れ」以来、優等生的な美女である彼女にとって転機となるダークヒロインだったかと思います。

吉川愛との度重なる対決が凄かったです。

容赦しない感じが彼女のこれまでの演技の幅にはなかったものだと思います。

吉川愛も決して怯まないので迫力ありました。

〇囲碁 生きる形、死ぬ形を読む

林漢傑七段(現在は八段)の死活本の新作です。

漢傑先生の詰碁本は、かなり歯応えのあるものがそろっていましたが、今回は「詰碁を解けるようになろう」的な級位者向けのやさしい本になりました。

前半は、欠け目の考え方、中手の考え方、その二つに絞った練習問題です。

後半は、少し応用が入って、スペースの広げ方、狭め方です。

欠け目と中手だけに絞った問題集は、さすがにコクがなさすぎるのではと心配しましたが、問題集の後半になるとそれなりに落とし穴に落ちないように注意を払う必要があって、詰碁というのは注意力のゲームなのだと思い知りました。

わかりやすさと、身になる内容の両立は、棋書では非常に難しいのですが、易しい方にシフトしてもバランスが取れた本になっていると思います。

自分が級位者の時(四十年前)にこういう本があったならなぁと思いますが、ないものねだりです。

ザ・グレーテスト・ショーマンを観る

キネマ旬報シアターのリクエスト上映の一つとして採り上げられました。

WOWOWで見たときに、「これは映画館で見るべきだった」と反省した作品です。

映画館で見ましたが、やはり最高でした。

上映開始3分くらいに入ったのですが、満席に近く、危うく満員お断りを受ける寸前でした。コロナで一人置き販売しているので、半分くらいの入りではあるのですが、チケットアヴェイラビリティとしては危なかったです。

これを今一度スクリーンで見たいという人が、かくもたくさんいてくれるのかと安堵しました。

オープニングのバーナムの歌から一気に引き込みます。続いて少年時代の彼が父親の助手で訪問した屋敷で一目ぼれした女の子。チャリティ。

バーナムは鉄道工夫に応募して稼ぎ、きちんと正装して彼女にプロポーズしに屋敷を再び訪れます。両親には良い顔をされませんでしたが、チャリティ本人は待ち侘びていて、彼と二人で屋敷を出ていきます。

しかし、勤めていた貿易会社が船団を積み荷ごと喪失したため解雇されてしまいます。

この時に沈んだ船のLOCを持ち出し(横領)て、それを担保に銀行から資金融資を受けます(詐欺)。

そして始めたのがバーナム博物館と言うNYにはまだ無かった蝋人形館です。

しかし、売り上げは芳しくなく、娘の「生きているものを展示しなくちゃ」という一言にインスパイアされて、猛獣使い、空中ブランコ乗り、様々なフリークスを集めてサーカスを始めます。

大新聞の評論家などには、「下品」と酷評されますが、興行成績は絶好調で一気に成金となり大邸宅を購入し妻への約束を果たします。

ブロードウェイで評判になっている新進気鋭の脚本家カーライルをパートナーとしてスカウトします。バーでパートナーに誘う、このシーン(下図)がもう最高です。二人のテンポの速い掛け合い、ショットグラスをカウンターに並べて取り分を交渉し、ついに合意に至るシーン。その後でカーライルがカウンターに登ってタップダンスをして見せるのは、まったく忘れていました。

カーライルが空中ブランコの兄妹のアンに一目ぼれします。

バーナムは、成金になりましたが、大新聞の評論家にも認められるような本物を提供したいという密かな野望を抱き、スウェーデンの歌姫、ジェニー・リンドのアメリカ横断初興行を主宰することになります。

しかし、リンドと恋愛関係に落ちそうになるバーナムはそれを拒否することで彼女のプライドを傷つけてしまい興行は途中中止となり借金を背負ってNYに戻ります。

しかし、そこではサーカス小屋の火事、彼自身の不貞行為に怒る妻の家出などが続いてどん底へ。

けれども一座のフリークスたちは、もう一度、サーカスを再興しようと彼を促します。

だが、資金がと言うと、カーライルが「こんなこともあろうかと貯金しておいたんだ(真田さん)」と資金を繰り出して見せます。

サーカスはテント小屋での再出発をすることとなります。

その最初の興行が成功した所で、バーナムは座長のシルクハットをカーライルに譲って去っていきます。

カーライルはアンと結ばれます。

最後はゾウに乗ってマンハッタンのシヴィックセンターへと雪の中を妻子を迎えに行くバーナム。これってCGですよね? 実写かと見紛う出来栄えでした。

そしてスタッフロール。

我孫子・寿寄席に行く(9月)

万障繰り合わせの上、今月も行ってまいりました。

個人的には落語協会で唯一の女性・紙切り師だという林家花さんの芸を生で見ることが主眼でした。
折角なので最前列で見ていたのですが、切り始めてすぐに、「ちょっと近すぎますかしらね」と距離を取られてしまいました。それでも鋏の動き、紙の動きが良く見えて、あれよあれよと難解なお題の切り紙が仕上がっていくのを良くみることができました。
紙切りはテクニカルな芸だと思っていたのですが、実際に見ると案に相違して客いじりの話芸なのだということが判りました。いやテクニックがなくてできるものではないのですが。

紙切りで似顔絵を描きますからどなたか前に出て五分ほど息を止めていてください」と言うのは人を食った言い回し。
それを踏まえてトリの雷門小助六師匠が「わたしの落語ではお客さんを前に引っ張り出したり罵倒したりしませんから安心して最後までくつろいでお聞きください」と言うのも気が利いています。
助六師匠のトリの演目は、古典落語の「御神酒徳利」でした。
どういう話しかは、こちらに詳しく載っています。
http://ginjo.fc2web.com/96omikidokkuri/omiki_d.htm
典型的な三題話しなのですが、ソロバン占いという奇妙な占いをしてみせるのがなんでなのかはオチてみて、なるほどと手を打ちます。そうか、そういうことなんですね。
前座は立川雪路さんでした。紙切りで教壇を使うのですが、それをえっちらおっちら運ぶ姿が可愛かったです。