ブレードランナー2049を見る(ネタバレ)

bqsfgame2018-02-06

前作を決して好きではないので、見ない予定でした。しかし、祝日を出張先で過ごすのになにか見に行こうと思った時に、これが一番よさそうだったので。Rotten tomato で80%を越えていれば、まず安心かと。
しかし、見た感想としては、
1:寸が長すぎる
2:登場人物に関する説明がなさすぎる
3:結果としてストーリーを理解しながら見ることが難しい
と感じました。
謎めかしていると言えば肯定的に聞こえますが、不親切な映画だと思いました。
冒頭部は、なかなか良い感じです。しかし、それを署に帰って報告する辺りから既にわかりにくくなります。報告相手のジョシ警部補は、誰の指示でどういう思惑で動いているのかが説明されません。彼女の指示でウォレス社に調査に行きますが、ウォレス社はどういう利害関係で動いているのかも整然とは説明されません。かつて大停電があって、それ以前のデータの多くが失われたことが語られますが、その経緯についても注意して冒頭から見ていないと置き去りにされてしまいます。
どうやらレプリカントたちは、自分たちの創造神話を持っていて人類の迫害からそれを守るために少なからぬ個の犠牲を払っているようです。そして、この創造神話に前作の主役であるデッカードと、レイチェルの存在が重要な役割を果たしており、2人の子供がいることをレプリカントたちは必死に隠しているようです。
ウォレス社は、ラヴを実行指揮官として、この子供を捜しています。それは、レプリカント製造を再開した同社にとって、どうしても必要なピースらしいのです。
LAPDのジョシ警部補は、発見された古いレプリカント帝王切開の傷から、本件がこの問題に繋がっており、一歩、間違えればレプリカントの大反乱を再発させると懸念していたようですが、そこは明示的には語られませんでした。しかし、彼女がラヴに脅されても動じることなく殺される事情としては、そう考えるのが妥当なように思われます。
終盤になってデッカード本人に辿りつきます。Kとラヴは、デッカードを奪い合いますが、Kが勝利します。そして、デッカードは巻き込まれて溺死したことにしておいて、彼を娘に会いに行かせます。最後のシーンは、デッカードが娘と出会います。
お目当てのマッケンジー・デイヴィスは、一つ前の型のレプリカントとして登場し、Kを誘惑し情報を引き出そうとします。
メインのヒロインであるホログラムのジョイは、マッケンジー・デイヴィスの体と同期することでKと結ばれます。このシーンは、ちょっと気味が悪い感じですが、良く言えば幻想的。ジョイが単なるホログラムを越えた存在になろうとする物語は、枝葉なのですが、ちょっとイイ話しなので丁寧に描いて欲しい感じでした。
アクションシーンは全体に殺伐とした感じです。見ていて痛いと感じるシーンもいくつかありました。
未来世界は雪のロサンゼルス中心に描かれていますが、サンディエゴ廃棄地区があることから放射性降下物の混じった雪であることが推察されます。ダークな秋葉原みたいな感じは前作の延長線です。巨大なジョイのホログラムが店のキャッチをやっているシーンには、ちょっと驚きます。看板の随所に日本語があるセンスも変わっていません。
前作の時点で原作小説は着想を得た程度の位置づけでしたが、本作は前作の映画に対する回答編になっていて、原作小説とはますます関係なくなりました。ディックファンが見に行く必要はないと思いました。一方で、前作の疑問に今でも答えが見つからない人は、是非、見に行くべきでしょう。明解ではないにしても、一定の答えは出されています。