ライナー・クニッツアのゲーム

クニッツアについては、最近どうもガッカリさせられることが多いので、ギークの評価と自分の評価にズレがあるように感じている。一度チェックしてみることにした。自分の評価の順にグループ分けして、ギークの評価を見てみよう。

●いしだ的9点クラス
7.94:モダンアート
7.82:コンフロンテーション
7.57:バトルライン
6.23:ヌバ
モダンアートは衝撃の出会いだった。同じ顔ぶれでプレイして相場ができてしまうと、良い物件を引けるかどうかに強く依存し始めるので意外に浅いのかも知れないが、美麗なコンポとシャープなセンスの傑作だったと思う。
コンフロンテーションは原作映画の全体的な構図を上手に生かした小品ながらも切れ味の鋭い一作。
バトルラインも同じく小品ながらも切れ味の鋭さは抜群、古代戦というモチーフも個人的にはスマッシュヒットだった。
ヌバはギーク評点は低いが、コンフロンテーションと同様に軍人将棋の流れを汲むシャープな一作。勝つための手段が単一でないところも素晴らしい。もっと評価されて良いと思う一作。

●いしだ的8点クラス
6.48:指輪物語カードゲーム
 指輪カードゲームはシステム的に市場のお店やアトランテオンと近いのでアイデアの流用が著しいという意味でいただけないという意見は理解できる。とは言え、市場のお店よりもアトランテオンよりも面白く、これも原作のテイストを上手く使っていると思う。

●いしだ的7点クラス
7.92:ラー
7.33:ロードオブザリング
7.02:市場のお店
6.84:フリンケピンケ
6.80:メンバーズオンリー
6.71:ツタンカーメン
6.44:ストーンヘンジ
6.00:ツインズ
5.68:ゴールドラッシュ
ラーはオーバーレイテッドだと思う。選択肢が意外に狭く、最初にアクションを起こすと後は必然に押されて最後まで行くように思うのだがどうだろうか? 同じような不満はアメンラーでも感じる。アメンラーほど無用に複雑ではないのでラーは許容範囲にあると思うのだが、世評が妙に高いので消火側に回っているところもある。
ロードオブザリングは、コンフロンテーションが出てくるまでは評価がもう一つ上だったが、コンフロンテーションの登場で指輪の新規の最高傑作の位置が失われ合格点ゲームに‥(^_^;
市場のお店はシンプルでわかりやすくホームパーティー的にはOKだと思う。
フリンケピンケはシンプルでジレンマが面白くオークション的な要素の小品。クニッツアらしさがコンパクトな中にパッキングされているという点では代表作と言っても良い気がする。アブストラクトで少しドライなところが惜しい。
メンバーズオンリーは独特のデカダンチックな間があるジレンマが少しマイルドな洒落たボードゲームで、他のクニッツアの傑作とは魅力のありかが違うところが貴重と思う。とは言え切れ味はやや鈍いので合格点くらいだろうと思う。
ツタンカーメンはその独創性の高さで個人的には大好きなゲーム。ただ、周りの人がやってくれないので手放した一作。周りが乗ってくれないというのはホームパーティーゲームとしては失格なので‥(^_^;
ストーンヘンジはシンプルでジレンマに満ちていてクニッツアらしいが、プレイしたときに面白いという点ではヌバの方がずっと上だと思う。
ゴールドラッシュは坊主捲りのようなシンプルなゲームだが、ちゃんとその中にどこでビッドするかの駆け引きがある。とは言え捲りのラック要素が大きすぎるのでそれほど高くは評価できないだろう。

●いしだ的6点クラス
8.46:ユーフラテスチグリス
7.74:アメンラー
7.51:メディチ
6.85:クオヴァディス
ユーフラテスチグリスと、アメンラーは、どう考えてもオーバーレイテッドだと思うのだがどうだろうか? 個人的にはユーフラテスチグリスのような古代史の地政学ゲームをやるなら、ちゃんと歴史のテイストがあるヒストリカルシミュレーションをやりたい気がする。ホワイトロータスやVINCIにも言えることで、顕著なのはヘキサゴニーだと思うのだが、あまりにアブストラクトでドライな地形で地政学マルチをやっても思い入れが個人的には湧かない。ゲームオブスローンズボードゲームをやってみて思うのだが、重厚な原作世界があってこそあのゲームも魅力があるのだと思う。
アメンラーについては最近あちこちで議論したり書いたりした通り。意外と選択肢がない、選択肢がある序盤ではランダムさが強い、妙に複雑な割りにそれが面白さに生きてこないという点が不満。フリンケピンケにコアな醍醐味は既にあるような気がすると書くと厳しすぎか? まぁギークで誉めている人が多いのだから消火担当がいても良いのだろう。
メディチは初期のメビウス便でプレイしたが、どこが面白いのかもう一つ見えなかった。モダンアートの衝撃の後では合格点くらいのオークションゲームをもう一つ見せられても喜べなかったというのはある。
クオヴァディスは個性的という意味ではツタンカーメン程ではないにせよ評価はできる。ただこれも周囲が乗ってくれないのでホームパーティーでは失格系か‥(^_^; 個人的にもツタンカーメンは楽しいのだが、こちらはひたすら辛い気がする‥(^_^;

全般的に見たときに、どうもギークの評価と自分の評価の間にはあまり相関関係はないような気もする。あと特に近年のゴージャスコンポ系が妙に高く評価されている気がして、初期の切れ味の良い小品が評価されていない気もする。
ゲームはコンポじゃないぞぉー! と叫んでみたい気もするが、マウストラップやミニチュアゲームのようにコンポが命だと言うものもあり得るか‥(^_^;
ただ少なくとも個人的に言えることは、クニッツアに期待するものはゴージャスコンポで魅せるようなゲームではないということは確か。