創作ゲーム:ざ・会社

以前に「ざ・会社」という創作ゲームを作ったことがある。病床に伏した社長のもと、営業部長、製造部長、研究部長、経理部長、人事部長の5人が会社を集団体制で運営しながら次期社長の座を狙うというものである。実際にプレイすると、特に会社勤めの人には、ロールプレイングゲームとして爆発的に受けた。おかしなもので会社という設定で、互いを「●●部長」と呼び合う(ルールでそう呼ばないといけないということにしてある)だけで、普通のマネージメントボードゲームのように自在な戦略で動けなくなってしまう。
多くの人は非常に真面目で、「会社のため」という言葉を口にして自己犠牲を払っても会社のために自分のできる範囲のことはしようとする。その一方で、会社全体のために思い切った作戦が必要だと思っても、その作戦が自分以外の部署に多大な犠牲を強いるようだと、なかなか言い出せなくもなる。
「ざ・会社」で少し実際の会社のしがらみを出したゲーム要素を入れるだけで人間は思考や行動を制約されてしまうのだから、本物の会社でなかなかできないのは当然なのかも知れない。