☆お喋りセッションを読む

bqsfgame2005-03-12

1991年の書き下ろし短編集。短編集の書き下ろしは珍しいが、真相(?)はあとがきにある。非常にレベルの高い短編集で草上さんの魅力たっぷりだと思う。
特に素晴らしいのは後半の3作品。「お喋りセッション」は、会話というものが特殊スキルになってしまった孤立した人間社会の未来を舞台にした短編。お喋りが芸術として珍重されている‥という奇想なのだが、作品のタッチは切なくむしろラブロマンス。意外性もあって表題作にふさわしい。
ヒッチハイク」は、種々の動物を乗り継いで遠くへ遠くへ行こうとする異形の未来。ボードゲームの「エルフェンランド」を連想させるとともに、「地球の長い午後」をも髣髴とさせる。エスニックで、ロマンティックで、ほのぼのとしていて魅力ある一作。
「外科ニック」は、「白い巨搭」ロボット版といったところ。ロボットの外科手術を迫真の描写で読ませる。それでいて短編として、定番的ではあるかも知れないが感動的なエンディングを迎える。巻末にふさわしい一編だと思う。
もう一つ加えるとしたらば、「あとがき」が面白い。