○ザップガンを読む

bqsfgame2005-06-14

1965年のフィリップ・ディックの作品。「パーマーエルドリッチの三つの聖痕」と「最後から二番目の真実」の間になる。
冷戦時代に無差別大量殺戮兵器競争した反省からファッション戦争的な虚構へと移行した兵器開発競争。その軸となる兵器開発霊媒の西側のトップ、ラーズが主人公。ある日、エイリアンが来襲し、対抗するために実効のある兵器を再び必要とした世界のため、東側のトップ、リロと連携して作業をすることになるが‥。
設定がわかりにくい部分があり、作者が言うほどではないが前半がもう少し整理されていると良いかなと言う気がする。しかし、独創的な設定で、B級SFらしいギミックが満載されており、結構、楽しかった。創元のPKDでは過去に「去年を待ちながら」、「ジョーンズの世界」を読んだが、それらよりも面白いと思う。
途中で消えたかと思われた脇役たちの最後の悲劇、そして、大団円かと思われたところで最後に待っている現実が綻びる感覚のエンディングは洒落ている。中期のディックらしい作品と言って良いと思う。