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1980年に発売されたこのゲームは、近未来の85年のベルリン市街戦を扱っている。当時は米ソ冷戦が切迫しており、欧州での両者の激突が現代戦ゲームの花形トピックとなっていた。ベルリンは二次大戦後に東ドイツ領内にありながら、東半分をソビエト側が、西半分をNATO側が分割しており、両者の間に設けられたベルリンの壁は東西冷戦の象徴だった。
ゴルバチョフ書記長の登場以後急速に進んだ雪解けの中でベルリンの壁が崩壊したのは象徴的な出来事となり、筆者らの年代の人間にとっては物心ついてから存在していた世界のフレームワークが激変することがあり得るという衝撃的なエピソードだった。
今の若い人にはこうして歴史的背景を語らないと、どうして西ベルリン市でNATOの米英仏三国と西ベルリン警察がワルシャワ軍に四方から包囲攻撃されるかが理解できなくなってしまっているであろう。
世界は幸いにも欧州第三次大戦を現実のものとすることなく今に至っており、このゲームのシチュエーションはSFになってくれた。