ゲームの位置付け

西ベルリン市は、ワルシャワ条約機構軍の海の中に浮かんだNATOの小島であり、実際に第三次大戦が勃発したときには絶望的な状況にあると見られていた。実際、このゲームでも、周囲から攻め込んでくるソビエト東ドイツ軍に対して一定の抵抗ができそうなのはアメリカ軍くらいで、英仏軍も自身のバラックポイントを死守するくらい、西ベルリン警察にあっては蹂躙されるばかりだろう。
ただ、このゲームを今になってソロプレイしてみて、意外ではあるが当時のSPIの現代戦ゲームの中で手軽にSPIらしさを味わえる気がして好印象を抱いた。
まずデザイナーがジム・ダニガン御大であり、デベロップがデビッド・ジェイムズ・リッチーとニック・カープ、アートワークがサイモンセンという錚々たる顔ぶれなのである。また、ゲームシステム的にも、移動・戦闘、戦闘結果で相手を大きく後退させて戦闘後前進で突破していくというSPIの現代戦で代表的だったシステムが利用されていて、ほぼ完成している。
さらに、プレイアビリティが非常に良い。理由は、スタックができず、戦力比ではなく戦力差のCRTを使用していることによる。ユニットがスタックできて、これをめくって総合計を出し、割り算をして戦闘比を出すゲームと比べると、格段に戦闘解決がスムーズなのである。
その意味で往年のSPIの現代戦テイストを手軽に味わうには、非常に手頃な存在になっている。そうしたニーズの向きには是非とも第一に検討していただいて良いと思う。サイモンセンのアートワークもなかなかである。
ただし、シチュエーションが前述のように一方的なのでNATO側を持っても良いというプレイヤーがいるかどうかが対戦の鍵になるであろう。そうでなければソロプレイ用と割り切る必要がある。
[つづく]