ファイナルコメント:ゲームデザイン技術の進化を思う

bqsfgame2005-09-15

呪文のシステムのところに洒落た工夫があり、なるほど「スペルメイカー」だなと思わされるゲーム。しかし、全体としてはなにせ70年代のゲームなので、完成度は昨今のドイツゲームとは比較してはいけないかも。27年間のゲームデザイン技術の進歩は大きい。このため、いくつも雑なところが目に付き、「こうする方が良かったのでは?」と思うところが多々ある。
第一にコマの強弱が一方的過ぎ。いちばん弱いカエルの腰掛けはキノコだから移動すらできず、唯一の取り得はジャイアントに勝てるということだけ。ジャイアントは動けないキノコ以外には負けないから極めて強力。もちろん強いコマと弱いコマがあっても良いだが、いささか一方的に過ぎる。ジャイアントを唯一倒せるというキノコはまだしも存在感があるが、カエルあたりはさっぱり使えない。
コマにそれぞれに個性を持たせて、たとえばジャイアントは強いけれども醜いので王女をエスコートできないとか、カエルは弱いけれども呪文カードの枚数比率が多く呪文の対象にしやすいとか、ドワーフも強さは今一つだけれども秘密のトンネルを通れるとかいう風になっていれば、どの種類のコマにも活用法があって作戦がいろいろと出てきて面白かったのではないかと思う。
また、呪文カードのシステムももう一つ。上述したコマの能力バランスが悪いこともあって、凄く役に立つ呪文とそうでない呪文が明確なため、役に立つカードとショボいカードの差も開いてしまっている。このため、どんなカードでも使いようによっては‥という妙味がない。コマの個性付けをしてそれぞれに使い道があるようにすると改善するとは思うのだが、そうだとしても色の制約まであって呪文が使いにくいので、たまに良いカードを引いて強い呪文が炸裂するとゲーム全体が傾いてしまう。そこらへんももう少しなんとかなっていれば面白かったのではないかという気がする。