レムが亡くなったと聞いて愕然としたが、共産主義体制崩壊後はSFはもう書いていなかったと聞いてなるほどとも思った。思えば本当に書きたいことを書けないからSFを書いていた人で、本当の意味ではジャンルSFの中の人ではなかったのかも知れない。それにも関わらず生半可なSF作家より遥かにSFらしい「宇宙は拡大した地球ではない」を描いた三部作(エデン、ソラリス、無敵号)は未曾有の力業としてSF史に今後も残るだろう。
実質的にはSF作家ではなくなってしまって久しかったので、死去によって今後の作品が失われたという喪失感はなく、むしろ来るべき時が来たという感じだろうか。「エデン」、「金星応答なし」、「虚数」などが手持ちで未読(エデンの場合には一度挫折)で残っており、この機会にどれかまた一冊読んでみようかとも思う。
画像は個人的には一番印象に残っている「無敵号(砂漠の惑星)」。これと「星からの帰還」が個人的にはベストだと思っている。