☆宝石泥棒(再読)を読む

bqsfgame2006-06-06

SFマガジンを買い始めた頃、丁度、連載が佳境に入っていたのが、この「宝石泥棒」。
当時は大作と思っていたが、今の時代に読み直すと、このコンテンツなら三倍くらいの長さになっていても不思議ではない内容の濃さだと思った。
異世界ヒロイックファンタジーとして開幕し、濃密な生態系から人工的な生態系、不毛な生態系を経て大きな秘密が隠された目的地へと到着する。最後は列記としたSFであることが明らかになるのだが、これ以上はネタバレ‥(^_^;
山田正紀の「神狩り」から始まる一連の作品群で繰り返し描かれる、絶対的な能力者との絶望的な戦いに挑む人間たちの姿が此処でも描かれている。異世界ファンタジーとして他の作品よりも寸が長く多様な要素が盛り込まれている。しかし、きちんとまとまっており山田正紀の当時の時点での到達点の一つだったと思う。四半世紀余りを過ぎて読んでもなお魅力的な作品だと思う。