☆スペースマンを読む

bqsfgame2006-06-23

宇宙SFコレクションと銘打たれた日本オリジナルの海外宇宙SFアンソロジー二分冊の壱。
非常に充実した内容で、今まで読まずに放っておいたのが惜しまれた。元々は巻末の二中篇、「バースデイ」と、「鉛の兵隊」のために買ったもの。
シェフィールドは読んだことがなかったのだが「月を盗んだ男」は読ませた。どことなく「ゴッドファーザー」を想起させるところも。
クラークは意表を突いてショートショートのような二編が収録されているが、どちらも面白かった。選者の意図通り意外な一面の紹介に成功していると思う。
「いこいのみぎわ」は、ノスタルジックな傑作だと思った。宇宙SFが、良い意味でスペースオペラだった時代の非常に良質な作品だと思う。初めて読んだが今まで読み落としていたのが口惜しい作品。
「かくて光あり」も、JPホーガンの意外な一面の紹介に成功していると思う。
「バースデイ」は、いわゆるジェネレーションシップものの新機軸で、SFマガジン掲載時に読んで深く記憶に残った一作。個人的にはもしかしたら今でもオールタイムのベストSF短編かも知れないと思う。いま読み直しても色褪せたりはしていない。
「鉛の兵隊」はジョーンDヴィンジの出世作。これもSFマガジン掲載時に読んだもの。海外未紹介作家コーナーだったような、そうではなかったような‥? いずれにせよ本作品を読んでヴィンジには大いに期待したのだが、その後に訳された「楽園の崩壊」や「雪の女王」では期待したほどではなく残念だった。当時の女流作家の台頭の中で期待通りの答えを出したのは、ティプトリー、ウイルヘルム、そしてブラッドリーくらいか。これにコニー・ウイリスを加えて好きな女流SF作家の四天王と言った感じだろうか。