エア&アーマーの基本ルールを読む

bqsfgame2006-08-10

別のゲームのルール要約を作ろうかと思っていたのだが中断して早速ながら読んでみた。正味11ページ、4ページが本ゲーム独特のC&Cとリミテッドインテリジェンス関連、4ページが移動/戦闘などの基本事項、3ページがやや特殊な事項と言ったところか。一気に読み終えることができた。
独特のC&Cルールの部分は、少々説明が丁寧すぎて同じことが何度も別の項で出てきたりしてしつこく感じた。それ以外は基本的には良く書けている部類に入るだろう。メンバーを見たら、デベロップメントにサザードの名前があり、ルールエディターはコスティキャン、リサーチはチャック・カンプス、テストプレイコメントにニック・カープが入っている。錚々たる顔ぶれだ。
ゲームの骨子は、C&Cとリミテッドインテリジェンスにある。ワルシャワ軍は、ターン開始時に連隊単位で3つのミッションのいずれかを割振る。行軍、移動攻撃、準備攻撃と言ったところか。行軍は移動力が高く道路を高効率で移動できるが敵ZOCに入ることができない。移動攻撃は移動力が高く敵ZOCに入ったり攻撃もできるが、道路移動はできず、移動攻撃では連隊単位でしか攻撃ができない。準備攻撃では移動力が低くなるが、攻撃ができ、かつ連隊の単位を越えた連携攻撃が実施できる。
敵の抵抗が予想されない時には行軍、敵との接触が予想されるときには移動攻撃、敵の強力な抵抗を断固として排除するときには準備攻撃と言った使い分けだろうか。行軍以外の任務にはコマンドポイントが必要なので、全部隊に命じることはできないようになっている。NATOは事前の計画は不要でプレイの進行に応じて臨機応変に部隊に任務を与えて行く。ただし、コマンドポイントの制約はある。
リミテッドインテリジェンスは、ユニットの戦力配分をユニットの下にステップマーカーを隠すことで実現している。ダミーの0ステップから最大9ステップまでがある。1ステップは中隊相当。したがって連隊を表すユニットは3コマあるのだが、そのそれぞれにマーカーを置いて合計9ステップを配分する。3ステップずつ配分すれば通常の大隊ユニットと同じなわけだが、7/1/1とか、6/3/0とか極端なこともできる。ユニット自体は見えているので、敵がどこにいるかは概略の見当が付いているが実際に接敵してみないと正確なところは分からない。0〜9と思い切った差が付けられるのがミソ。
戦闘では、ステップ数×ユニットの表示戦力で攻撃力を出し、これに地形修整を加えてから半分にしたものが敵に与える打撃になる。これを防御側の表示防御力に地形修整を加えた値で割るとステップロスになる。実際はもっと複雑なのだが大筋の理解はこれで良いだろう。
C&Cとリミテッドインテリジェンスの部分は独創的だが、それ以外の要素はシンプルに押さえてある。
全体のルールブックを通じて、デザイナーはこのゲームを通じてプレイヤーに何を理解してほしいのか?‥というメッセージが非常に明確に力強く伝わってくる。このゲームではミリタリーシステムのソフトウェア部分の重要性を強く訴えたいと言うことに尽きている。その意味では、「兵器よりも、それを持っている腕の持ち主の方が重要」と説いたTSR/SPIの「スナイパー」とスケールは全然違うが同じ思想のゲームだと思う。