ショートゲームレビュー:アクロス・ザ・ポトマック

bqsfgame2006-09-24

英語版コマンド30号の付録ゲーム。
これは日本語版コマンドに和訳が掲載されている。こうしてみると英語版コマンドの主要な南北戦争ゲームは日本語でプレイできる環境が得られている訳で「やるな、コマンド日本語版!」という感じがする。
「ヴィクトリー・イン・ノルマンディー」、「スターシップトルーパーズ・プリペアー・フォー・バトル」などのベン・ナイトのデザイン。彼はゲティスバーグに近いところで生まれ育ったそうで、それにしては南北戦争ゲームを中心的に手掛けているわけでもなく少々意外。
ゲームはなんとダブルブラインドのゲティスバーグ戦役。1ターン1日というスケールはGCACWと同じだが、なんとヘクスは10マイルと10倍、つまり面積では100倍。このくらい広くなってしまうと細かい地形を扱う意義もないのでルールはシンプルになっている。また、移動力は一見小さいがヘクスが巨大なことを考えれば実は大変な機動戦。この広さで機動戦をダブルブラインドでやると、ヘクスが小さいと遭遇しないので広範囲ヘクスの索敵やインターセプトのルールが必要になりそう。ところが、それをヘクスを巨大にすることで全て解決してしまったのが凄い。扱う期間も「ロード・トゥ・ゲティスバーグ」のアドヴァンスドシナリオが6/22−7/9の18日間なのに対して、本作は6/3−7/22の50日間となっている。
陸戦のダブルブラインドは珍しいが、南北戦争における決定的な決断の遅れはほとんどが情報不足によるものなのでフォッグオブウォーが濃いゲームデザインというのは妥当な気がする。ナイトのゲームはプレイしたときにゲーム性が高くて面白いことが多いので、この作品も一度はプレイしてみなくてはいけないかという気がする。ただ、これほどソロプレイに不向きな仕組もないので当面は実現しそうにない。