ネタバレ粗筋

荒野を旅するセヴェリアンは、ついに独裁者の部隊と敵とが交戦する戦場を彷徨っていた。死んでいる兵士を見かけるようになり次には生きている兵士を助けることになる。その兵士を助けて味方と合流しようと彷徨うが本人も熱病に冒され、持ちつ持たれつでようやく味方の避病院へと辿り着く。
そこで二人はなんとか助かるのだが、そこにいたフォイラという素晴らしい笑顔の女性を争ってハルヴァードとメリトという二人の兵士が争っているのに巻き込まれる。フォイラの提案で二人は物語をして素晴らしい物語をした方が彼女を手に入れるということになる。物語競争はさらにフォイラ自身や、アスキア人の捕虜までも加わって繰り広げられる。アスキア人は、承認されたテキストを引用することのみで会話をするという奇妙な民族だった。それにも関わらず彼らも一応は人間であり、意思を曲がりなりにも通じ合えるのであった。
避病院で看護を勤めているのは長年セヴェリアンが捜し求めていたペリーヌ尼僧団であった。その奴隷であるウィノックは、かつてパリーモン師に拷問されたことがあり、その最後の言動が何のためだったかをいまだに疑問に思っていた。
セヴェリアンは尼僧団のリーダーのマンネアから独裁者の軍が劣勢であることを聞かされ、アスキア人の勢力が増すと危険になるであろう最後の隠者への警告を届けに行くように頼まれる。最後の家は不思議なことに決まった手順で進むことでしか、その位置に出会うことができない。実はそれは時空を隔てて、この世界の起こりえる未来の一つに位置していて、そこから過去に突出する形で存在しているらしいのだ。最後の家のアッシュ師は過去へと遡ると蓋然性に過ぎない自分は消失するかも知れないと絶対の家を去ることを拒む。そこは太陽が衰えて氷河期となった未来らしい。しかし、セヴェリアンは命令を守るために彼を力ずくで連れ帰ろうとする。結果として帰り道の途中で彼の蓋然性はどんどん低下し姿が薄れ声だけになり最後にはかすかに感じられるだけになってしまう。言い換えれば彼の未来が起こる確率はセヴェリアンのいる現在ではごく低いのだ。
帰り着くとそこには避病院はなく、既に敵に蹂躙された後だった。彷徨った挙句、傭兵隊長グアザヒトと出会って腕を見込まれて抜擢されることになる。そこで部隊と共に戦果を挙げ、また敗北し、助けられてみたら今度は助けてくれたのは両性具有の独裁者本人に助けられたのだった。
独裁者と共に飛翔機に乗せてもらって一気に戦場離脱かと思いきや、アスキア人の分不相応なハイテクノロジーのエネルギー兵器で撃墜されてしまう。そしてアギアに助けられヴォダルスの所へ連れられる。
しかし、アギアはヴォダルスの実態を見て死者の肉をアルザボのエキスと共に食う彼らにはついていけないと感じ、セヴェリアンを再び逃がしてくれる。このときにセヴェリアンは独裁者を手に掛け、その記憶を受け継ぐ。独裁者とは歴代の独裁者たちの記憶を引き継いだもので、セヴェリアンは新たな独裁者となったのだ。
歴代の独裁者は新しい太陽をもたらす試練に挑む機会を与えられるが誰も成功したものはいなかった。セヴェリアンはその試練に挑むことを決意するが、そのための準備期間を与えられ大海からギョルの河口を登って独裁者の城塞へと帰る旅を猶予期間として与えられる。
城塞に帰り着いた彼はパリーモン師の元を訪れ彼の運命がかなりの程度まで予定されたものであったことを知る。さらにイナイア老の手紙を受け取り、彼の運命が過去へと結びつき、時間の環が閉じて完成されることになる。そして新しい太陽がもたらされることになり物語は完成する。