インチョンをソロプレイ

入手して早速ルールを読んでみた。「ブリテンスタンズアローン」との共通点は上陸作戦から始まると言うことくらいで、システム的にはほとんど共通点はない。海空戦で上陸を受ける側の抵抗が激しかったシーライオンと、それがほとんどなかったインチョンで違うのは考えてみれば当たり前かもしれない。上陸の手順処理こそあるが、インチョンは普通の陸戦ゲームである。
ゲームシステムは、普通の移動/戦闘、ZOCはマストストップ、戦闘はメイアタック、補給ルールはあるが縮尺が縮尺なので補給源へ繋がる道路から10ヘクスと甘く、しかも補給切れになってから3ターン経たないと全滅チェックは始めない。
このゲームでもっとも特徴的なルールは、砲撃である。圧倒的な艦砲射撃と航空支援を背景とした国連軍は、地上戦闘の支援だけでなく、単独の砲撃攻撃ができる。これを受けると、相手のユニットは練度チェックを強いられ、失敗するとショック状態に陥り移動力/戦闘力が直ちに半減し、次の自軍ターン終了時まで回復しない。
結果として、国連軍は攻撃時にこれを使い、少し残しておいてNK軍が反撃してきたら、その反撃スタックに撃ち込んで相手の意図を挫くことができる。
国連軍の地上部隊自体は質は高いが量は少ない、しかし、支援に支えられており重要な場所では必勝不敗な訳である。同じような印象を受けたゲームとしては、セントラルフロントシリーズの後半の簡易ルールになった「ノースジャーマンプレイン」がある。この時期のNATO軍の構造的な特徴と言えるかも知れない。
ゲーム展開自体はワンサイドであり、対戦ゲームとして面白いとはとても思えない。
ただ、上述のNATO軍(此処では国連軍だが)の特徴が良く分かり、その強さを感じると共に、脆さも感じられるようになっている。脆さが露呈することは本ゲーム上ではないが、ご存知の通りこの戦争は後にCN軍が介入して国連軍は再び戦線瓦解して退却を強いられる。それは前線全面で圧力を掛けられる地上部隊の量をもって押されたときに支える力がない構造をしているからではないか‥というインサイトを本ゲームは与えている。
その意味では、この戦争における両軍の構造的な特徴を感じさせ、インチョン作戦だけのゲームでありながら、全体に関する「わかったような気にさせる」ところは価値が高いのではないかと言う気がする。
さすがウェルバネスである。