マクロ経済環境を読むトレーニング

数年前から我が家も新聞は日経にしたりしてはいるのだが、マクロ経済環境というのはなかなか読むのが難しいと思う。実のところ、日本の株価が、日本の中で暮らしている実感と噛合わない動きをするというのは、久しく痛感してきたところ。世界経済が連動する中、世界経済の中で日本市場への投資も動いており、他国の事情も理解していないとさっぱり動きが理解できないという気がする。
此処で理解できないと諦めてしまうのは、経済ゲームをプレイするゲーマーの端くれとして勿体ないので、試みに少しトレーニングしてみようかと思い始めた。
先ず、独断でも偏見でも良いから予想を立て、自分なりの理由を考えてみる。三ヶ月経ったら振り返ってみて、外れていたらなぜ外れていたかを考え、それを事前に回避することができなかったかを考えてみる‥という具合である。
初めてなので、ごく大雑把なところから。
1)アメリカ経済とアメリカ株価
サブプライムローン騒動などはアメリカ出張したときに見聞する限り確かにバブリーなところがありリスク要因だと思う。ただ、日本のバブル崩壊の失われた15年のようにひどいことにはならなそうな気がするというのも事実。上値は限定的で、早晩、下降トレンドに転換すると思うが大崩はしない?
2)ヨーロッパ経済とユーロ
ユーロの対ドル、対円の高値は凄まじいが、旧東欧諸国の発展活力を踏まえて相対的に強いポジションにあるというのは事実と思う。どんどん上がり続けるというのも信じられないが、いまの水準から戻って下がるということはない気がする。アメリカより事情は良いように感じるので対ドルのユーロ高は続くと思う。先進国の中ではヨーロッパ全体としては強い位置を保つ気がする。
3)日本経済と円
日本の人口減少と、ゆとり教育による教育水準に難のある世代の社会進出のリスクは、個人的には深刻だと思う。人口政策と教育政策は、正に国の責任ではないかという気がするが、一朝一夕に取り返せないところがさらに深刻。高い技術資産を食い潰して凌いでいる感じで、労働力問題は高齢者雇用と、子育て終了主婦の戦力化でなんとかして出来るだけ国際的地位が低下しないように頑張るしかないという感じか。それでもジリ貧気味なのは止むを得ないかと言う感じ。中期的には円安は140円くらいまであるかも、株価はドルベースで見て横這いくらいか。円建てだと円安の分くらい上がる?
4)成長諸国
人口ピラミッドに優れ、英語が公用語で、IT産業が強いというインドが軸か。逆に人口ピラミッドに難があり、資本主義見習い状態の中国はリスクが高いと思う。レアメタル穀物など、石油以外の新たな資源が相次いでインフレ気味なので、ロシア、一部アフリカ諸国も含めて成長諸国はどこもキャッシュフローはありそう、後はそれを生かすことができる国はどんどん伸びてくるだろう。国内政治の安定と、中期的なビジョンを持った成長経済政策が打てるところが特に優れた成長を示すと思うが、どこだかわからないので全体として成長するということくらいまでか。個人的な好み程度の話しとしては、インドの次はトルコか?
5)世界のリスク
先進国経済は、古い経済理論が示すような景気の周期変動に対して弾性的な対応ができるようになって突沸したり逆にドン底まで落ち込んだりしなくなってきているように感じる。
その中で大きなリスクは二つあり、一つは前項でも書いた資源インフレリスク。そしてもう一つが、実感として感じられるようになっている地球温暖化などの環境問題リスク。先進国は高い技術力と政治的な主導力で、世界にソリューションを提供して、この問題を乗り越えなければならないのだが、成長諸国がエゴに走りたくなるのをどう誘導できるかが正念場になろう。中国の水不足や公害の発生を伝え聞くと、この問題は既に顕在化しているのだと思う。これが21世紀の世界のアキレス腱なのだと思う。この問題の解決のために世界的な経済成長をスローダウンすることも止むなしとしなければならないと思うのだが、この辺りは環境問題ボードゲーム「VERTIGO」がついに現実になった時代に我々は生きているということだろう。