SGC例会:インペリアルを対戦プレイ

bqsfgame2007-09-17

待望のインペリアルをプレイすることができた。
盤上では第一次世界大戦らしき欧州紛争が展開されるのだが、プレイヤーの立場は列強に資金を貸し付ける資本家である。
同じ国に対して複数のプレイヤーが貸し付けると最高融資額のプレイヤーがその国の意思決定を行えるようになる。つまり、18xxと同じゲーム構造になっている。プレイヤーの目的はキャッシュフローを最大にすることで、各国家は国力を累積していき、その国力に応じてゲーム終了時の融資残額に対する利子に残存価値の係数が最大5倍、最小0倍の範囲で評価される。
もちろん係数が最大になる国家に多額の融資をしている方が良い訳だが、ゲーム初期の資金は高利で貸し付けるのに対して、中盤以降プレイヤーのキャッシュフローが大きくなってから高額融資を貸し付けると金利水準が下がるようになっている。また、手持ち現金もきちんと1倍で評価される。
たとえば、初期の融資は利子50%なので、残存価値係数が2倍なら元本同額の評価が終了時に得られ、ゲーム途中で国家から引き出したキャッシュフローが丸儲けになる。終盤の融資は利子が34%くらいなので、残存価値係数が3倍にならないと元本に相当する評価が残らない。終盤であるからゲーム途中でのキャッシュフローを得る期間も短くなる。
したがって、資本をもっとも効率よく回転させられるのは圧倒的にゲームの序盤から中盤に賭けてであるということが見えてくる。
また、一度融資した元本は貸し付けっぱなしになる。また、各国の融資の総枠は決まっている。このため、良さそうな国家への融資は一杯になってしまうため、ますます終盤の融資はショボいものばかりになってしまう。
となると、ゲームの終盤でするべきことは、各国の残存価値係数の争いを自分に有利に運ぶことくらい。そのために戦争が盤上で発生し世界がWW1に巻き込まれていく‥という風にデザインが機能していれば本作は世紀の傑作になり得ただろう。
だが、残念ながらそうなっていない。
負けている国家が抵抗のために戦争を仕掛けるのはその通りなのだが、勝っている国家は相手をせずに配当処理と国力判定処理だけを繰り返して逃げ切ってしまった方が良さそうだ。そうすると負けている国家も戦争に手番を費やすと残存価値の係数が0とか1で終わるのはショボいので必死に同じことをしてせめて2とか3にしようと努力することになる。そうなると実は終盤の戦争は盛り上がらず、ゲームはそれまでの融資バランスに則ったランニングゲームになってしまい、勝っているプレイヤーが逃げ切ることになってしまう。
この日はオーストリアが5倍、ドイツとイギリスが4倍でゲームを終了した。
最初からオーストリアを二人で運営していたG藤さんとわたしが1、2位、ドイツをほぼ一人で運営したK野さんが惜しくも3位。一時期、オーストリア、ドイツを除く4カ国を支配したOnakaさんは最下位に沈んだ。ちなみに他の国家はフランス3倍、イタリアとロシアは2倍だった。
G藤:232点 墺90+仏36+露34+独32‥
わたし184点 墺90+英32+独24‥
K野:181点 独76+英36+仏33‥
On:148点 英40+仏36‥
非常に整然としたメカニクスの素晴らしいゲームだと思う。終盤の戦争の効果がもう少しだけ強ければ世紀の傑作たり得ると思うので、少しだけルールをいじってみたい気もする。