ドル安

世間では円高という言葉が用いられているようだが、誤解を与える言葉だと思う。間違いなくドル安だと思う。
たとえば、円対ドルで見ると一時124円くらいだったものが、112円まで行ってしまい、いまも115円前後をふらふらしている。これだけ見ると円高ドル安な訳だ。
ところが、円対ユーロで見ると、168円くらいだったものが153円くらいまで行ってから、実はかなり戻ってきていて今は163円くらいまで来ている。つまり、円とユーロは一時的な激震はあったものの、あまり大きくトレンド転換してはいなさそうだ。
今回の円高について、世界的な信用不安による円キャリートレードの巻き戻しという短期的な要因があったと思う。これはその通り。その恐慌的な現象が去って落ち着いてみると、アメリカ経済が下降トレンドに転換しつつあるということを反映したドルの一人負けというトレンドが見えたのではないか? カナダドルアメリカドルを上回ったのもその現われだろう。
日本経済は昔から永らくドルを見てくらしているので、対ドルで円が上昇すると円高という言葉を使うようだが、実態はドル安だけが存在し、円のトレンドは世界全体の中では特に動いていないと思った方が良い気がする。