「ハイペリオン四部作」として

此処が一番納得できなかった。
亡くなられた越田先生がその昔に蒲田の駅前のドイツパブで、「ハイペリオンだけあれば良かったんじゃないですか」という感想を言われていたのを鮮明に記憶している。当時は未読だったので意味が分らなかったが、おそらくこの「ハイペリオン」はハイペリオン二部作のことを指していたのだと思う。
ハイペリオン」と「ハイペリオンの没落」は、対になって完成度の高い作品となっていて、物語は謎解きを終え完結していたと思う。
それをわざわざ蒸し返して再び超大作を繋ぎ合せるだけの必然性をエンディミオン部分が持っているかと言うと、個人的な感想としてはNOだと思う。
一部のハイペリオンでの謎解きは「勘違いだった」とか「伝聞なので不正確だった」とされるが、ミステリーだったら反則としてこの段階でアウトだと思う。SFとしてもかなりアウトな気がする。
また、作品のテイストもかなり異なっており、凝った作りのハイペリオン、力技の没落などと比べてストレートな冒険劇に異世界情緒を盛り込んだエンディミオン部分は、かなり違和感のある続編だと思う。
最後に言えば、マシスンの「あるひどこかで」やハインラインの「夏への扉」もそうだが、わたしはこのタイプの主人公が大嫌いなのだ‥(^_^; これが主観的には大きなマイナス。
と言うことで、エンディミオン二部作として、ハイペリオンとは全然別の新しい作品として出してもらい、もっと魅力的な主人公の視点で描かれていたならきっと傑作だったろうなと思いながら、四部作の画龍点睛としては×としか評価できなかった。