共和制時代と帝政時代の題材としての違い

共和制時代のローマは成長過程にある一勢力であり、自分に比肩する、あるいはもっと強大な敵と戦って地位を築き上げていった。これらの戦いはウォーゲームの題材として面白いと思う。中でもカルタゴと雌雄を決したポエニ戦争は、古代史のもっとも名高く興味深いテーマだと思う。
それに対してカエサルガリア戦記あたりから帝政へと移っていくに連れてローマは強大なオンリーワンパワーになってしまい、その戦いはモグラ叩きの様相を呈する。ガリア戦記史書としては名高く、ウォーゲームの題材にもしばしば取り上げられるが対戦ゲームとしてプレイして面白いのは残念ながらバーグ大先生が作ったTSR−SPIの「ユリウス・カエサル」くらいではないだろうか。問題点はカエサル側はプレイして面白いが、叩かれるモグラの側はつまらないということにつきると思う。「ユリウス・カエサル」はカードゲームシステムを取り入れてガリア側がカエサルを悩ませつつ、どこかで大きな仕掛けをするために手札を仕込むことができるので面白くなっている。ただし、ルールの書き方が非常に悪くプレイアビリティも低いため、それほど世評を聞くことがないのが残念。
これがさらに進んで帝政になるとウェルキンゲトリクスの一斉蜂起のようなこともなくなるため、SPIのフォールオブローマなどは蛮族はシステム任せにしてローマだけをプレイするソロプレイゲームだった。これが帝政ローマのウォーゲームの題材としての実態だと思う。
その意味では本作「闇よ落ちるなかれ!」がどうやって対戦ゲームとして興味深く切り出そうとしたのかは興味深いところだ。実際に対戦までするかどうかは別としてルールは是非とも読んでみたい。