激動のフランス革命史

プレイの方は第1ターンは地滑り的に穏健派が勝利。サドンデスが発生し得ない穏健派の勝利は第1ターンにおいては多くのプレイヤーが歓迎するところだったようだ。
しかし、第2ターンは急進派政府の実現を命題とするプレイヤーが二人いて、一気に盤面は赤く染まっていく。まさかと思っていたが、パリで圧勝しそうな急進派はよもやの17議席確保によるサドンデスにも届きそうな勢いに。しかし、これはすんでのところで王党派の大物の身を挺した活躍で阻止される。
第3ターンには急進派のリーダー同士で追放やギロチンが発生して急進派の勢いは急速に衰え、一転して王党派の反革命が静かに潜行し始める。要所を押さえさえすれば7箇所で成立するという王党派革命はこれまた済んでのところで達成までいくが、結局、王党派同士の間でサドンデスにまでしたい思惑と、そこまでは望まない思惑が交錯して実現しなかった。
第4ターンには、再び王党派革命を狙って王党派のプレイヤーたちは動き出すが、それとは別に戦争の指導者として名を挙げる彗星さんが着々と加点して一気に勢力を伸ばしてきていた。結局、再び王党派革命は王党派同士の足の引っ張り合いで実現できなかった。そして、戦闘で連戦連勝で国民的な人気を挙げた彗星さんが逆転で勝利を収めることとなった。
今回のプレイでは、戦闘ルール、急進派サドンデスルール、反革命サドンデスルールなどのメカニクスの全てが重要な働きをして非常に面白い展開になった。
特に5人プレイだと、一巡の間に置かれるタイル数が多いことから、選挙の終了タイミングが予想しがたい。プレイヤー全員が地滑り的に特定派閥に流れた第1ターンと第4ターンはアッという間に終わった。逆に第2ターンは非常に長くなり、なかなか決着が付かなかった。このときにデックが多めに消耗したことが急進派の早めの衰退と早めの反革命の可能性を生んだと言える。しかし、それも実現せず、結局、政治に失望したフランス国民は戦争の英雄に歓呼の声を送ると言う結末になった。かくして史実は鮮やかに盤上に再現されたように思う。素晴らしい。ドライに見えるメカニクスの中にこれだけのドラマを仕込んで見せたワレスの手腕たるや恐るべし。ヒストリカルシミュレーションとは名ばかりの凡作しか作っていないウォーゲームデザイナーは見習って欲しいものだと思う。