ショートゲームレビュー:ストッカーズ

bqsfgame2008-04-22

1995年にウォーフロッグから出版されたワレスの作品。
ワレスのことを「複雑系ゲームデザイナー」と評する向きもあるが、「1630」と共に95年に発売された本作品あたりではシンプルでジレンマのあるゲームを作っていた。生硬なクニッツアと言った感じだったかと思う。複雑なものを作るようになったのは、「ルネサンスの王子たち」あたりからだろうか。
本作はファンタジーレーシングゲームと銘打たれているのでBQSFの範疇ということにしてレビューを書いているのだが、実のところファンタジーな印象はほとんどない。単なるアブストラクトカードゲームによるレーシングゲームである。クニッツアの「ターフホースレーシング」との類似を指摘する人がいるが、その通りだと思う。
6色の車があり、それぞれに対応するカードがある。全部のカードを全員共通のものとしてランダムにディールして配りきってしまう。で、時間の都合に応じてその内の何枚かを秘密裡にディスカードさせて、残りを使ってワンラウンドずつプレイしていく。プレイされたカードに応じて、その色の車は1車分だけ前の車を追い越していく。骨折ブランドの「ヒットチャート」と類似したシステムなのだが、その前にカードプレイをするときに他人のプレイしたカードをオーバーライトできるところが違っている。
ファンタジーと言いながら何の特殊能力もなく、極めてドライなアブストラクトカードゲーム。
ディスカードする枚数によってプレイ時間とプレイテイストが変わってくる。極端なケースではディスカードなしで配ったカードを全てプレイ仕切るというルールでもプレイできる。そうすると全てのカードが必ずプレイされることになり、時間も掛かるしカウンティングが重要になるのでいっそう辛辣になる。個人的には1/3くらいは捨てた方が良いと思う。
コンポーネントの視認性がひどく悪いのも特徴で、ひどく不親切に感じられた。
ルーンバウンド」や「ブラス」でしかワレスを知らない人が見ると驚くのではないかと思う。