ねじまき鳥クロニクル第一部を読む

bqsfgame2008-07-30

わたしは普段はジャンルSF作家の書くジャンルSF小説以外の小説はほとんど読まない‥のだが、突然、村上春樹を一作品くらい読んでおこうかと思い立った。理由はいくつかあるのだが余り意味がないので省略。
どの作品にしようかと思ったが、迷った末に村上作品が初めて戦争を扱ったという本書にしてみた。これまた三部作の大作で途中でコメントすることに意味がないような気もするが、終わりまで読みきれる自信がないので一回書いておくことにした。
普通のSF小説では重要なのは設定とストーリーになる。どんな世界で、どのような事件が起こり、そしてそれが如何に解決されていくかが重要だ。逆に言えば、そこを要約してしまうと、その作品が魅力的かどうかそれなりに見当が付く。
ところが、本書ではそういった部分にはあまり意味がない。本書の主人公は奥さんと二人暮らしで、司法浪人しながら法律事務所で働いていたらしいが先日退職して今は雇用保険をもらいながら主夫業をしている。結婚直後から飼っていたネコが行方不明になってしまったので、働いている奥さんの代わりに家事の合間に探す努力もしている。
というのが設定であり、スタート時点のストーリーということになる。
そのストーリーの中で主人公たちと関わる人たちが紹介され、その人々が自分の身の上を語っていく。それなりに面白いエピソードもあり、すいすいと読ませてくれる。しかし、肝心のネコが見つかる気配はなく、ストーリーが進展したと感じさせる部分は第一部の範囲ではほとんどない。最後の方で登場するノモンハン戦のエピソードを語る人物の部分が「戦争を扱った」ということだとすれば、これはまた随分と意外な形での扱い方であった。
読みやすいので、続きを読む可能性はあると思うのだが、「ハイドゥナン」を中断してまで読むことはなかったかというのが正直なところ。この後どうするかはなんともいえない。