×第19期囲碁名人戦全記録を読む

bqsfgame2008-08-10

この時期、竹林包囲網という言葉があったらしい。実際、名人戦では、15,17,18期を大竹が、16,19期を林がリーグ戦を制して小林名人に挑戦した。なんと5年に渡って竹林がリーグ戦を制圧し小林に波状攻撃を繰り返したのだ。特にこの年は碁聖戦で林が小林のタイトルを奪い、十段戦で大竹が小林の挑戦を退けた。そして、名人戦は林が小林に挑戦ということになり、この年は疲れが見えて調子の上がらない名人の状態もあって、名人交代があるのではないかと盛り上がった。
しかし、結果から言うと4−0で小林名人が圧勝して前人未到の7連覇を達成した。
ただし、スコアは圧倒的だったが、棋譜を見ると内容は良くなかった気がする。
第1局は林挑戦者が優位でヨセに入り、最後で小林名人が逆転して辛勝した。
第2局は小林名人の妙着が決まり大差となり終盤ヨセのミスでかなり損したが逆転せず逃げ切った。
第3局は小林名人が優勢の碁を緩むことなく最強の手段を繰り出して大変な攻め合いとなり、両者とも死活を見損じていたが勝負の綾は小林名人に味方した。
第4局も小林名人が先行する林挑戦者を捕まえて勝利しストレートの決着となった。
と言うことで確かにストレートではあるのだが、小林名人は終盤での逆転や、大きなミスがあり、前年までに比べると「らしくない」部分が大事なところで目立つ棋譜だったように思う。
この年も各棋戦で激闘を繰り返し、さしもの強者も経年劣化が出てきたかと感じさせた。そして、その不安は次の第20期に現実のものとなる。