×トウモロコシから読む世界経済を読む

bqsfgame2008-08-23

最近の資源インフレの中でも、個人的に注目しているのがトウモロコシまわりだ。
人間の食料として、畜産資料として、そしてバイオエタノール原料として、植物由来プラスチック原料として、いまやトウモロコシの需要と注目度はアップする一方だと思う。
その一方で世界的に見ると、トウモロコシ資源は穀物メジャーが牛耳り、アメリカが主要サプライパワーであり、日本人には理解できていない部分が多い気がする。そんなこともあってこの本を選んで読んでみた。
感想としては、あまり面白くなかった。筆者は商社でトウモロコシ取引の上流部分まで自ら手掛けた人物であり、適切な執筆者だと思うし、その経験をベースにして面白いエピソードも少なからず含まれている。
ただし、理科系のセンスで読むわたしの目から見ると、以下の点が非常に物足りなく感じられた。
1)定量的なデータを提示する部分が少ない
2)現象のメカニズムを考察する部分が少ない
3)データやメカニズムを図式的に明解に表現するページがほとんどない
逆に言えば、
4)本人の経験に基づいたエピソード、言い換えれば思い出話しが多い
5)定性的な傾向論や、根拠が明確でない作者の意見が多い
ということになろうか。
これはこれで資料としての価値はあると思うのだが、これを読んで世界経済をトウモロコシの側面から切れるようには残念ながらならない。