率直な感想

ゲームシステムは面白いし、ちゃんと機能もしている。ルールブックの書き方はいただけないが、プレイしてQ&Aを消化して学習努力をすれば、ちゃんとプレイできるようにはなる。
しかしながら、気になるのはドイツが負けないように早々に防御転換してしまうと、ドローゲームにしかならないのではないかという不安を感じさせる点だ。史実でロンメルがやりすぎて破局を招いたように、ドイツプレイヤーが無理にカイロを目指して部隊損害を臨界点を越えるところまで出せば連合軍の勝利でゲームは収束するかも知れない。
しかし、史実を知っており、別にロンメルのように自身の力を過信して本当にアレクサンドリアに行けるとも思ってもおらず、ヒトラー総統の決死命令の圧力に選択の余地を失ってもいないドイツプレイヤーであれば、そんなことはせず分相応なところで引き上げて負けない道を選ぶのではないかという気がする。
カードゲームでありながらプレイが悠に2時間を越えてしまうというのも、個人的なイメージとしては受け入れがたい気がする。
興味深い存在であり、もっとテストプレイしてきちんとデベロップすれば傑作になりそうな資質を持っていると思う。けれども、今のままでは惜しいところで妥協して出版してしまった残念な作品と言うのが妥当なのかという気がする。
本作を面白いと評価する人が少なくないのは理解できる。しかしながら、2時間かかって結局は決着が付かないで終わってしまうカードゲームと言うのは、個人的にはやはり「残念っ!」という感じだろうか。
BGGではデック数による時間制限ルールはどうだろうかという議論が上がっていて、なるほどそういうルールが欲しくなる訳だと得心してしまった。