☆ハリーポッターと死の秘宝を読む

bqsfgame2008-12-24

とうとう終ってしまった。
世間に遅れること半年、最終巻を無事に読み終えることができた。
率直な感想として、ローリングの本シリーズの構成力、その緊密な構成を最後まで書き切った忍耐力は凄いと思う。最終巻の後半にして、シリーズ冒頭からの様々な設定や伏線が「そういうことだったのか」と理解されるものが少なからずある。そうした伏線を全7巻、読者時間にして10年に渡って伏せて進めてきた辛抱強さは凄い。
好みの問題はあるにせよ、世紀のファンタジーと呼ぶにふさわしい構築物に仕上がったのではないかと思う。
この最終巻は、冒頭4巻までの学園ドラマから4巻末で脱却して以来の、善と悪との全面対決がクライマックスを迎え、ほとんど全面戦争とも言うべき状況にまで進展する。そして、その最後の戦場はホグワーツホグワーツ砦の最終決戦と言ったところだろうか。
そして、クライマックスでネビルが大蛇の首を落とすシーンは、個人的には指輪物語でエオウィンが魔王を斬り倒すシーンを思い出してしまった。全然、設定も違うし、物語のテイストも違うのだが、大ファンタジーのクライマックスという点で、どこか連想させるものがあるように思う。
前巻から引き続いているあの人の分霊箱を探す旅は、例によって前半はいらいらさせるほどに進まない。後半に至って事態が進展し始めると同時に、一気に局面は最終決戦へと雪崩れこんでいく。
そして、結末は分霊箱の問題だけでなく、他のもっと根の深い伏線も収集しながら一気に収束する。
ダンブルドアは? ハリー自身は? 最後まで結末は余談を許さないところで揺れてみせるが、ついに物語は可能な限りのハッピーエンドを迎えてくれた。
少し甘い印象もあるが、子供向けを強く意識したファンタジーとしては当然の選択だったろうか。
いろいろな伏線が判ってみると、それら全てを確認しながら再読してみたくもなるが、あまりに重量級の構築物で安易な再挑戦を許さない。
数年経って落ち着いたら、一気に通して読んでみたいものだ。