勝利得点の配置

このゲームでは、非常に勝利得点の設定が興味深い。
北軍は、4ターン目までにチカホミニー川の北岸で攻撃を受けた場合に、当初ホワイトハウス(パムンキー川南岸)にある補給拠点をハリソンズランディング(ジェームス川北岸)に移転することができる。これを実行すると、北軍は10VPを得ることができる。
ただし、そのためには実際にホワイトハウスからハリソンズランディングまで、サプライトレインユニットを移動させなければならない。
この時に問題になるのが、北軍の移動制限ルールである。マクレランの鈍重な指揮を反映する特殊ルールとして、北軍は毎ターン、活性化できる軍団数をダイスで判定する。これは、2〜5個軍団の範囲となっており、期待値としては3.5個軍団となっている。北軍は当地に5個軍団を展開しているのだが、全軍で全力で機動することなど叶わないようになっているのだ。
さらに、上記の問題のサプライトレインを移動させようとすると、これは2個軍団分の機動として扱われることになっている。したがって、期待値が3.5個軍団しかない機動力から、2個分が差し引かれることになる。このため、北軍は実際の攻撃や撤退のために使わねばならない機動能力を大きく削がれることになる。
ざっくりとした計算として、
史実通り南軍が26日午後に攻勢を開始したとすると、これは第4ターンの出来事になる。
そうすると、北軍は後攻であるので第4ターンからサプライトレインの機動を開始できる。
したがって、第4ターンから最終第16ターンまで合計13ターンがあるので、この間の全機動可能のべ軍団数は、3.5×16=56軍団機動ということになる。
その内、サプライトレインの機動には、もっとも順調に進んでも10軍団機動が必要である。したがって、戦闘部隊の機動に使用できるのは、46軍団機動しかなく、盤上に5個軍団があることを考えれば、それぞれの軍団は16ターンの内の9ターンしか、機動したり戦闘したりできないということになる。つまり、概ね2ターンに1回くらいしか機能を発揮しない訳で、盤上には5個軍団あっても、実際に動かせるのは半分くらいの規模しかないということだ。
さて、これと連動する話しとして、南軍はチカホミニー川北岸から北軍を駆逐すると5VPを得られるようになっている。北軍がハリソンズランディングへの撤退を実施することで10VPを得られても、それによりチカホミニー北岸が放棄されるなら、半額は返してもらえるということになる。
そうすると、後は残りの5VP分をどうやって確保するかが南軍の焦点と言うことになる。
その他の勝利得点としては、相手の戦闘部隊に与えたダメージが互いに得点となる。しかし、このゲームの戦闘システムは攻撃側の損害の方が若干大きいイメージになっており、これにより得点を確保するというのは結構難しい。
むしろ現実的なのは、北軍がハリソンズランディングへの撤退で得られる10VPは、実際にサプライトレインユニットがハリソンズランディングに到着しなければならないので、これを妨害することが考えられる。そのためには、サプライトレインユニットを実際に捕捉して撃破したり、あるいはその撤退路の最短距離を妨害して時間的に辿り着けなくしたりすることが考えられる。