「歌の翼に」を発掘してきて、自分の持っているサンリオSF文庫の蔵書を眺めていて野口幸夫氏のことを思い出したら、ネット上にこんなものを発見した。
http://archtype.exblog.jp/m2004-09-01/
当時のSF仲間とも、自分の贔屓の作家の作品は野口氏には訳して欲しくないものだ‥と言い合っていたものだが、やはりこういう評価なのかと納得してしまった。
いわく『「翻訳は直訳でなくてはならぬ」という奇怪な信念にとりつかれていたという。』ところなのだが、当時、野口氏は某誌に翻訳講座のような連載を持っていて、これを力説して他の翻訳家の翻訳に批判的な論調だったかと思う。とは言え、実際の訳書を読むとどういう評価になったかと言うのは上述の有様だったので‥(^_^;
もう少し野口氏よりの論調の話しとしては、こんなのも見つかった。
http://www2.ocn.ne.jp/~nukunuku/MyPage/K0401F.HTM
昨日も書いたが当時のニューウェーブ運動は文書技法的な枝葉に過剰に傾倒していたものが散見された。その意味では野口氏は翻訳という部分でその最前衛に位置していた事例なのかも知れない。
このリストには上がっていないが他にベスターの「コンピューターコネクション」も野口の翻訳だったと記憶している。そもそも今回、野口氏のことを思い出したのは、ディッシュの最高傑作と言われていた「キャンプコンセントレーション」が野口氏の翻訳でガッカリだったからだ。
国書刊行会の再版の話しが順調に推移すると「キャンプコンセントレーション」も再版になる可能性があるようだ。しかし、その場合には是非とも新訳でお願いしたいものだ。野口訳の再版であるならば、かなりの際物であることを此処では指摘しておきたいと思う‥(^_^;