ショートゲームレビュー:アンドロイド

bqsfgame2009-07-26

2008年のFFGの新作ボックスゲーム。
デザイナーはケヴィン・ウィルソンで、FFGのアーカムホラーや、ディースントなどのデザイナーである。
ゲームのテーマは、アンドロイドが実用化された暗い感じの近未来を舞台にした殺人事件の捜査活動である。
このゲームのメカニクスは、大きく分けて二つになっている。
一つ目はメインのストーリーである殺人事件の捜査だ。各プレイヤーは、それぞれ個別に活動する探偵となり、殺人事件の容疑者たちの中から犯人を特定していく。
と言っても、このゲームは、往年の「ベイカーストリート221B」や「オリエント急行殺人事件」、「シャーロックホームズ10の怪事件」のような推理ゲームではない。こうした先達のゲームには、シナリオで用意された真犯人や真相が存在していた。そして、プレイを通じて得られる証拠から合理的な思考をもって真犯人が推理できるようになっていた。
これに対して本作では、各探偵はそれぞれに「こいつが真犯人だ!」という直感的な予断を持っている。これはランダムにカードで配られて決まってしまっている。そして、プレイ中にはボード上を旅して様々な証言、物証、記録などを獲得でき、それを自分が疑わしいと思う容疑者に配置することで、その容疑者をもっとも疑わしい容疑者に仕立て上げていくのである。つまり、推理ではなく、各探偵による各容疑者へのポイント蓄積を競うゲームになっている。
ゲーム終了時に各容疑者に蓄積されたポイントが比較され、もっともポイントの高い容疑者が真犯人となり、その真犯人を当初から直感で予想していたプレイヤーが大きな勝利得点を得られるようになっている。