東海遊侠伝−次郎長三国志をソロプレイする

bqsfgame2009-08-16

コマンド75号の付録ゲーム。13号前になるから、もう2年あまり前の作品になる。
「甲越軍記」をプレイしたので、続いて同じ太平記システムの本作もプレイしてみた。
基本的には「甲越軍記」と非常に良く似ている。
題材は幕末の博徒同士の戦いで、誰もが聞いて知っている清水の次郎長一家と、ライヴァルの黒駒一家の戦いを描いている。「甲越軍記」との類似を強く感じさせるのは、両家の間に立つ諸国博徒というのがたくさんいて、それぞれが時々の事情で両陣営に味方するところだ。
この題材特有のフレーバーになっているのが、仁義フェイズと、仲裁フェイズだ。諸国博徒に対して仁義を切ると、仁義表によって一宿一飯の恩義を受けたりする。また、現時点で敵方の諸国博徒と一緒だと、仲裁和議を申し入れることができるようにもなっている。
こうした独特のサブシステムの存在で、「甲越軍記」と比較すると全体の雰囲気が非戦闘志向な印象を与えるようになっている。このため、仁義や仲裁という非戦闘的な手段も含めた上で諸国博徒との関係を良く保って諸国に自分の一家の勢力を広げていくというゲームになっている。このため、ウォーゲームというより多分にエリアコントロールポリティクスのゲームという印象を与える。
次郎長一家は幕末に活躍し、東海道に広く勢力を張っていたこともあって街道警護という形で幕府と官軍の戦いに関与、というより利用された。幕府軍の咸臨丸が嵐で遭難した時の遺体を手厚く葬ったエピソードなどで、清水一家の義に厚いことは著名になり、明治の浪曲などに取り上げられるようになり人々の知るところとなった。さらに、小説や映画の題材ともなり、様々な形で人々の耳目に触れるエピソードとなり、多くの日本人は詳細は知らずとも清水の次郎長や、その手下の大松小松、森の石松などの名前や、名セリフなどに親しみを持つようになっている。
それにしても、この題材がコマンド誌の付録ゲームになったのはビックリ。今だったら正にウォーゲーム日本史の題材だろうか。
ちなみに博徒たちは幕末には両軍に利用されたものの、維新後は新政府の政策実行において都合が悪くなると掌を返したように冷遇されたりし、その末路は悲しいものだったと言う。本作ではその部分をゲーム後エピソードを描く明治残侠伝双六としてサブゲームでカバーしている。
本作はコマンド編集部の宮永氏から中嶋氏にオファーがあって作成されたものだそうだ。