○レダ2を読む

bqsfgame2009-08-19

レダを読んでいると、レムの「星からの帰還」を連想させられるのは昔も今も同じだ。ただし、視点が逆でレム作品は星から帰還したアウトサイダーからの視点だった。それに対して栗本作品は徹底してインサイダー視点だ。インサイダー視点なので、この架空の未来社会が当然だと思っている主人公の視点で記述される。そのため、どこが未来社会で異質なのかが、そういう風には表現されない。読み進む内に、この社会の異形の様相がじわじわと理解されてくると言う作りになっている。
この異質の社会に、それを当然としている人間の視点で、異質の社会を描き出すというのが、出来たものを読んでしまえばナルホドだが、実際には容易ならざる力技であるという気がする。ここらへん栗本薫でなければ書けなかった、屈指の力作&大作&問題作だという気がする。