×炎の記憶を読む

bqsfgame2011-03-06

筆者は女流御三家の中ではウィルヘルムを一番高く評価してきた。
理由はウィルヘルムが一番、駄作が少ないと思っていたから。
しかし、本書についてはガッカリだった。純然たるミステリーであることは問題ではない。もともとSFらしいSFを書くというタイプではなく、登場人物の不安や重圧を丹念に描いて真綿で首を絞めるかのような作品が持ち味だからだ。
本書も心理ミステリーとして、その持ち味は出ていると思う。しかし、ミステリーとしては事件の解決はあまりに平板であり、人物の魅力と言う点でも今一つのまま終始してしまっているように思う。これは再読することはあるまい。