○虚構機関を読む

bqsfgame2011-03-15

年間日本SF傑作選2007だそうだ。
選者が大森&日下と言うので、それほど期待できないと思っていた。まぁ、結論から言えば、その通りだったと思う。
全体として見て、かろうじて合格点と言うところだろうか。
これが年間傑作選だとすると、日本SFの2007年はお寒い状況だったと言わざるを得ないだろう。
選中にもあるが、2007年に円城塔伊藤計劃が登場してきたことが、筒井康隆編以来の日本SF年間傑作選の動力となったと言う。
とは言え円城は量子物理学を軸としていて一般には難解に過ぎるし、伊藤の残虐描写は個人的には辟易させられる。ここらへんが2007年の日本SFの軸と言うのであれば、日本SFはかつての魅力を失って迷宮の奥に入り込んでしまっていると言わざるを得ないように思う。
良かったなと思ったのは、小川一水の「グラスハートが割れないように」、北国浩二の「靄の中」、堀晃の「開封」、萩尾望都の「バースデイケーキ」あたりだろうか。ベテランの堀と萩尾を2007年の収穫と呼ぶのはあまりだから、そうすると小川と北国の2編だけと言うことになると、うーん寒い。
これでは2008、2009へと読み進むには至らない。