○ショウの「訪問者」を読む

bqsfgame2011-03-28

マッキンタイア目当てで購入した号。
イギリスSFの中堅、ボブ・ショウの「訪問者」。
キャンベルJrの名作「影が行く」を彷彿とさせると解説にあるが、まったくその通り。
しかし、ショウの作品は単純なオマージュではない。
南極の石油採掘基地と言う氷結した閉鎖環境。しかし、その背景にショウならではのアイデアが潜んでいる。宇宙の二地点を結ぶ新技術が開発され、人類はその一方を希望地点に固定することができるようになった。それを南極に置き、他方は無責任に宇宙のどこかに繋いである。
確率的にほとんどの場合は宇宙空間の深淵に繋がり、そこは絶対零度に近い環境であるはずだ。したがって、両地点で熱交換をすると南極には極端な低温が流れ込んできて、結果として採掘地周辺を冷凍固定することができる。これを利用して安定した氷結地表を採掘していくと言うのだ。つまり、一種のヒートシンクである。
宇宙空間の二点を接続する技術をワープなどの移動手段ではなく、ヒートシンクに利用し、それで油田を掘ると言うのはショウならではのオリジナルではないだろうか。
しかし、不幸にしてその相手端からエイリアンが侵入して来たらと言うのが「訪問者」である。
絶対零度に近い環境に生息する未知のエイリアンに基地のメンバーは一人また一人と‥。後は読んでのお楽しみ。
解説にもあるが、ショウは一時はクラークの後のミスター・イギリスSFと期待された中堅作家。その作品の全部がサンリオSF文庫だったため、今では日本では幻の作家である。
もっと紹介されて良い作家だと思うのだが、ハヤカワさん短編集なんてお願いできないでしょうか? 創元さんもサンリオ長編の復刻しませんか?