☆マイナスゼロを読む

bqsfgame2012-02-18

広瀬正の全集が文庫化されたのは筆者が高校生の時だった。
毎月一冊ずつ刊行されたが、どれも書店に並ぶとすぐに購入して読んだものだ。
その最初の一冊がマイナスゼロだった。
タイムマシンものの古典と言って良い風格を持つ作品で、非常に完成度が高い。戦前の銀座の様子が丁寧に書き込んであり、一種、三丁目の夕日風でもある。
タイムマシンものだが、パラドックスを扱っておらず、逆にパラドックスを発生させないように奔走する主人公の悪戦苦闘が微笑ましい。しかし、最後にはとんでもないパラドックスの存在が明らかになってしまうのだが‥(^_^;
30年ぶりに読んでも、まったく色褪せていない。
むしろ、逆に近年の日本SFにはこれと比肩するような成果は出ているだろうかとガッカリさせられるほどだ。
あまりにも良かったので、エロスも再読しようかと思っている。