山田正紀シリーズ第2弾。
デビュー直後にSFマガジンに短期集中連載された作品。
吸血鬼伝説のSF的な新解釈を軸に据えたハードボイルドタッチの作品。
設定は、吸血鬼伝説は氷河期に適応した人類の亜種が正体だと言うもの。この亜種を巡って、それを敵視して根絶しようとするものと、保護しようとするものがアンダーグラウンドで激しく鬩ぎあっていると言う。
主人公は、眠り続ける美少女との出会いから、この争いに巻き込まれ真相を知っていくと言うストーリー。
神狩りと比べると、グッと落ち着いた感じで、なかなか完成度も高く、じっくりと読ませる。ただ、テンションと言う意味では落ち着きすぎている部分もあり、これから山田作品を読む人に、山田正紀の代表作として薦めるには適切でないかも知れない。
実際、今回、久しぶりに読んで見て、こんなに落ち着いた作品だったかなと思ったほどだ。しかし、これもまた山田正紀の一面であることは間違いない。