☆謀殺のチェスゲームを読む

bqsfgame2012-10-13

山田正紀の初期作品も神狩り、弥勒戦争、化石の城、氷河民族に続いて5冊目になった。
完成度と言う点では本書は、その中でもベストだと思う。
二人のネオストラテジストの知的ゲーム、その実行部隊である佐伯と立花の対決、そしてゲームに巻き込まれた二人の若い恋人たち。
伏線を全て回収しきって、破綻の不安も感じさせずに最後まで一気に走り切る。
ゲーム理論の説明などは、さすがに古色蒼然としているが、それはまぁ止むを得ないだろう。当時としては、最先端の流行ものだったと言うことだ。
北海道が舞台だったり、鉄道が重要な役割を果たしていたり、色々な所で琴線に触れる部分があり、今読んでも非常に魅力的だと思う。
神シリーズのような山田正紀らしさとは違うが、これもまた山田正紀らしさの一側面。