☆デーニッツと灰色狼[上]を読む

bqsfgame2012-11-16

地元の図書館にあったので借りてきました。
600ページ以上もあるハードカバーを通勤電車で毎日読み続けるのは、正直に言って大変でした‥(^_^;
しかし、これは面白いです。
著者のヴォルフガング・フランクは、デーニッツの参謀の一人だった人だそうで、潜水艦戦に関わるデーニッツ周辺の事情に詳しく、渾身の力作となっています。
非常に面白いプロジェクト小説になっていて、池井戸作品が好きな人なら是非とも読んでください。ザ・ゴールとかを好きな人にも薦められます。
逆に、ウォーゲーマーでもUボート戦に興味のない人にはそんなに薦められません。エキサイティングな戦闘シーンがある訳ではないからです。
この本を読むと、デーニッツが通商破壊戦の本質はリソースマネージメントゲームであることを開戦前から理解していたことがわかります。300隻のU−ボートを開戦時に準備してもらえば‥と言う彼の主張には裏づけがあり、彼は相当に確信を持っていたのだと思います。
そして、その本質を見抜いた目で作戦を考えると、敵はむしろドイツ国内に、それも彼の上司やその上の上層部にいたのだと言うことが痛感されます。
著者はデーニッツの本質を見抜く目に心酔しており、それを理解できず活用できなかった上層部に対する恨み言が全編に連なっています。