☆光子帆船二十五号を読む

bqsfgame2013-03-31

ジャック・ヴァンスの短編を求めて買い漁ったSF雑誌もこれが最後。
本作品は本国のベストコレクションに収録されたりもしているヴァンスの傑作の一つ。なるほど面白い。
ソーラーセールと言えば、なんと言ってもクラークの太陽からの風だが、実はそれより早い。また、最近あちこちで紹介され有名になったが、本作品はアメージング誌が経費節約のために大量発注した表紙が先にあり、その表紙に合う作品を作家に依頼して誕生した作品の一つだと言う。器用で鳴るアンダースン辺りはいかにもだが、異郷SFと言う強い個性を持つヴァンスに依頼したのは不思議。しかし、ソーラーセールの表紙に合わせて本作を書いたのはさすが。
クラークほどではないがちゃんと科学SFしている。それでいて、ヴァンス節としか言いようがない。常識外れで意地悪な教官と、骨董品並みのソーラーセールで訓練航海に出る候補生たちと言うストーリー。次々発生する異常事態に候補生たちはどう対処するかなのだが、何といってもキャラが立っているのは抜群である。
さして長くない短編だが読み応えは十分。ヴァンスの芸の成せる技だろう。