ハイブリッドであることの意義

ハイブリッドな戦術戦闘サブシステムを持つゲームは結構ありますが、なかなか上手く機能しません。両者のスケールの違いから、両者の相互関係が上手くゲームプレイ全体をドライブできないケースが多いからです。
このゲームはその稀有な成功事例の一つです。前述した通り、陸戦作戦級ゲームとしてのビルマ占領が勝敗の主題ですが、それを実現するために日本軍のラングーン空襲が重要です。空襲が重要だと言うことから、それに対する迎撃も重要になります。
このゲームが空戦ゲームに新しい視点を持ち込んでいるのは、この空襲が主役で迎撃が相方であると言う所です。とかく、ドッグファイトゲームは戦闘機の性能比べになりがちです。制空権は確かに大事ですが、なぜ制空権が大事なのかと言う視点がドッグファイトゲームでは欠落しがちです。制空権は、自軍が自由に爆撃や対地支援を実施でき、相手のそれを妨害できるからこそ価値があるのです。そのことを痛感させてくれるゲームは、今まではSPIの「ネクストウォー(選択空軍ルール)」やGMTの「バーニングブルー」くらいしかありませんでした。本作は、そうした空戦の真実に迫る新たな一作になっていると思います。