年末年始のトリック祭りに思う

bqsfgame2014-01-30

テレビ朝日の金曜深夜枠、いわゆる金曜ナイトドラマから出発した人気シリーズ。ついに本当に完結と言うことで感慨深い。
金曜の深夜と言う夜更かし可能な時間枠、深夜枠ならではのちょっと大人の味付けなどもあって、この枠は定期的にヒットを飛ばしている。その最初のヒットがトリックの第1シーズンだった。当時まだ知名度の低かった仲間由紀恵出世作。続編が同じ枠で、さらにシーズン3はゴールデンに進出。映画も三作作られ、その度に新作スペシャルがテレビでも連動企画として作られた。
怪奇現象のトリックを暴く売れない手品師と三流大学教授と言う設定で、謎解きミステリーであり、深夜コメディでもあった。一つのエピソードを2〜3話で描くので、結局の所、各エピソードは映画並みのボリュームがあり、見応えがあった。
話しの展開には大きく二つがあり、一つはインチキ霊能力者の詐欺を暴くもの、それとは逆に隠された犯罪を暴くために霊能力者のフリをしている復讐者の悲しい結末を描くものがあった。後者のパターンは、なかなか深みがあり、霊能力のインチキを暴くと言う立場の主人公たちが復讐劇にどう関わるか難しいのだが、毎回、独特の余韻を残して収拾しており脚本の入念な準備を感じさせた。
脚本が複雑なこともあり量産できるタイプのドラマではなかったが、それだけに14年間に積み重ねてきたシリーズは見応えがあった。今回も全部を見た訳ではないのだが、視聴者ランキングに基づくセレクションと言うことで、なるほどさすがに面白い物が揃っていたと思う。
六墓村を筆頭に横溝作品のオマージュが多かったのも特徴の一つ。その結果、さびれた村へ出張していくことが多く、今回の新作でも村へ入る所の行き先表示塔に過去に出てきた幾多の村の名前が並んでいた。
レギュラー脇役、ゲスト役の俳優の人選が素晴らしかったこともシリーズ成功の大きな要素の一つだろう。芸達者な舞台俳優が少なからず出演していたのは特筆に値する。
個人的に残念だったのは、佐伯日菜子の怪演が光った「パントマイムで人を殺す女」が入っていなかったことか。
で、劇場版で完結編をやっているのだが、大画面で見るより、気軽に巻き戻していろいろ確認できるDVD視聴の方が向く作品だと思うので一応、行かない予定。