○冒険の惑星4を読む

とうとう最後まで辿り着きました。
4巻のタイトルはプニュームです。地中に暮らすチャイの土着異星人です。
3巻の最後では、いよいよ地球に帰る宇宙船の完成間近でした。しかし、そこからリースは利用している悪役に隙を見せて、プニュームキンに誘拐されてしまいます。
この巻の前半は、プニュームの地底王国からの脱出の過程になります。その過程で、プニュームキンの女性を一人、道連れにすることになります。この女性が意外にも新たなヒロインとして、最終的には地球への帰還の旅にも同行することになります。
地底王国を脱出した主人公とヒロインが出てきた場所は、第2海を越えた北であり、そこからヴァンス得意の船旅でシヴィシへ帰還します。
残念なことですが、2巻、3巻の痛快さと比較すると、物語は地味でおとなしめです。最終巻で、テンションが落ちるのは少々残念だなと思います。チャイの種々の異星人の中でもプニュームはコミュニケーションが難しく、また地底に住んでいると言うこともあり、なかなか痛快譚にはなりにくかったのでしょう。その意味では、3巻と順番が入れ替わっている方が、まとまりが良かったかなと思います。
いずれにせよ、冒険の惑星4部作は全体として巨大で多様な異星人に満ち溢れたヴァンスらしい傑作だと思います。もっと世評が高くても良いように思うのですが、創元さんの売り方がいささか渋すぎるでしょうか。
近年、新作を読むのに追われて、なかなか再読ができていませんが、やはり傑作だと思ったものは再読に値するなと思いました。
これを読んだら、創元作品のシルヴァーバーグ(不老不死プロジェクト)や、プリースト(スペースマシン)を読み直したくなりました。忙しいので難しいですが、折を見て実現するようにしたいものです。