ゲーベンの逃走三部作

ロイヤルネイビーには、ゲーベン三部作があります。
そうです、地中海に封じ込められ、トルコに脱出して一夜にしてトルコ艦籍に化けて、結果としてトルコの枢軸側参戦に寄与したと言われるゲーベンです。
で、この三部作ですが、実はいずれも架空戦で、本当に砲戦に及んだものはないようです。
最初の接触は、8月4日の英戦艦インドミタブルとインデファティガブルですが、この時点で英国は対独宣戦していなかったことから英戦艦は攻撃を保留しました。
ドイツ艦はイタリアのメッシーナに入港し、イギリスはドイツに宣戦したのですが、イタリアが中立であったためメッシーナへの攻撃はできませんでした。次に、英艦隊は分散してドイツ艦の離脱を監視しましたが、遭遇に失敗しました。
最後は8月7日で、トラウブリッジ艦隊はチャーチル自らから「敵が優勢な状況では攻撃を保留せよ」との命を受けており、高速かつ長射程のドイツ艦に対して薄明時に有利な位置を確保できず攻撃を留保しました。
かくて、3回の機会があり、ゲームではその全部をシナリオ化していますが、実は本当に水上戦になったことは一度もないと言う訳です。
チャーチルは、もともと海軍相上がりなので、こと海軍に関しては現場に口を出し過ぎた嫌いがありますが、その悪い例の一つのようです。
この失敗の対価はトルコの枢軸参戦となり、非常に高く付きました。
と言うことで、ゲーベン撃破に成功できれば、歴史が変えられるかも知れないのです。
S&Tのオスマン帝国の黄昏も、ATOの致命的なアトラクションも、GJの東部戦線前進せよも、なかったことに出来るかどうかが懸かっています(笑)。ウォーゲーム界にとっては大きな損失かも知れませんが。