○不思議の一触れを読む

bqsfgame2014-06-10

前半はすごく面白いが、後半は総崩れに近いと言う評価の難しいアンソロジー
「高額保険」はデビュー作だが、気の利いたショートショート
「もう一人のシーリア」は、古典的な雰囲気のホラーだが、どことなくインベーダー系のSFテイストがある所が好ましい。
「ぶわん、ばっ」は、ジャズ小説と言うジャンルがあるなら、その範疇だろう。個人的にはなかなか好みの作品だ。
「雷と薔薇」は、書かれた年代を考えれば、核の冬を予見した佳作と思う。今の時代に本作品をアンソロジーに入れる価値があるかどうかは意見の分かれる所だろう。
「閉所恐怖症」は、解説にもある通りでプロット失敗作品。
「孤独の円盤」は、感性的には判るものの、感性だけに依存しすぎていないだろうか。
全般的に見て、情緒に走りすぎた作品は個人的には評価しにくいと思う。時代的に、SFがホラーやファンタジーから未分化だった時代の作家なのかなと思う。そのテイストを良しとする人には応えられない作家だし、そこに思い入れを持てない人にとっては既に過去の人なのかなと思う。