○英傑幻庵因硯を読む

bqsfgame2014-08-18

方円書庫さんを読んでいると、棋書の中でも打碁集をついつい買ってしまう。方円書庫さんが打碁集好きで、熱意あるレビューを書かれるからだろう。
ただ、打碁集はできれば盤石を使ってちゃんと並べたい‥などと思っていると全然消化できずに溜まっていく。これではいかんと一念発起して、消化努力することにした。
で、日本棋院の古典名局選集から。このシリーズはハンディサイズで携帯しやすく、局数がそれほど多くなく取り組みやすい。
で、幻庵因硯からと言うのは、ちょっと変か? 坊門棋士の誰かから始まるのが普通のような気がする。
方円書庫さんの受け売りだが、打碁集は棋士の生き様を描いているものが傑作と言う。その意味で、本書は13局しかないのだが、なかなか読み応えがある。
幻庵は、若手時代は11歳年上の丈和に頭を抑えられた形になっており、丈和の名人碁所策謀に敗れて名人碁所になれなかった。後年、再び名人を目指して運動するが、今度は丈和の孫弟子の22歳も年下の秀和に阻まれた。
結果として名人級の実力がありながら名人になれなかった四哲の一人に数えられている。
本書では前半は丈和と、後半は秀和との碁を中心に採り上げており、そうした幻庵の棋士としての人生が俯瞰できるようになっている。
幻庵の打碁集としては宇太郎先生の解説による日本囲碁大系版もあるのだが、安倍九段が亡くなられた時に本書を購入し、サイズや取り組みやすさから本書だけしか持っていない。
幻庵は、丈和との暗闘に敗れた悲劇のライヴァルのイメージが強いが、その解説に宇太郎先生が選ばれたのは意味深な感じがする‥(^_^;
最後から2局目に、秀策との耳赤の一局が出てくるが、秀策の出世碁として語られることが多い対局だが、幻庵因硯の打碁集では違う評価になるのがミソ。