☆石の血脈を読む

bqsfgame2014-10-26

「日本SF全集‥」でのピックアップ本です。
半村良は、どうした訳か縁がなくてあまり読んでいません。別に嫌いではないのですが。
本書は伝奇小説と言うジャンルを形成することになった初期の半村代表作。
660ページの大作ながら一気に読ませる会心の面白さです。第3回の星雲賞受賞作でもあります。
若手エリート建築家から説き起こして、イスラムの暗殺組織へ。そこから世界に跨って暗躍する古代からの謎の組織。そして、吸血鬼と狼男。さらに、現代のピラミッド建設へと進んでいきます。
古代からの謎の組織と吸血鬼と言うと、山田正紀の「氷河民族」を連想しますが確かに似ています。もちろん、こちらが古く言わば本家なのでしょう。
吸血と密接に絡んだ性愛シーンが大量に出てきますが、インパクトがあるのは最初だけで割とすぐにマンネリ化します‥(^_^;
結果として、魅力的な女性が次々に登場しますが、それを称賛する表現も割とすぐに枯渇します‥(^_^;
吸血鬼の出来損ないが狼男だと言うのは、ちょっと意外な設定。
また、視点人物の建築家自身が吸血鬼化してしまうので、最後は視点人物が移動して物語が少し不安定な印象があるでしょうか。
それにしても聞きしに勝る白熱の筆致で、これをもっと早く読まなかったのは不覚の一語です。
と言うことなので、早々にまた半村作品に帰ってくることになるでしょう。