空飛ぶタイヤを見る

bqsfgame2014-11-25

錦織効果で、WOWOWを契約したので、期せずして見ることができました。
「株価暴落」に向けてのプロモーションとしての一挙放送です。既に5年前の作品となり、脚本家の前川洋一は本作を出世作として、今では大河ドラマを書いています。当時はテレビでは実績が少なかった尾野真千子が割と重要な役でメガネ姿で登場しているのも新鮮です。
基本的には、原作に忠実な作りですが、原作が男性世界だったのをドラマ化に当ってバランスしており、雑誌記者と内部告発者は女性に変更になっています。結果として、大企業を突き崩す重要な役回りの二人が女性になっていることで、かなり受ける印象は違っている気がします。
キャスティングは豪華でさすがですが、主役の二人、仲村トオル田辺誠一は逆な印象を受けました。仲村は2枚目ですが冷たい印象を与えるので、50人の運送会社の熱血社長には不向きな気がします。敢えて逆に使ってみたのでしょうか?
仲村を支えて家庭で戦う妻には、戸田奈穂です。「ええ、にょぼ」以来のファンですが、久しぶりに一途な役で見た気がします。華奢なので画面では小さく見えますが、165cmあるナイスバディ。ヤンキースの松井との破局の後、医師と結婚して現在は二児の母です。軍師官兵衛では、官兵衛の母ですから時代を感じます。
雑誌記者役の水野美紀は、春麗時代からのファンですが(と言っても今では判る人にしか判りませんが‥)、本作は事務所独立で干されていた時期を越えて最初の大きな役だったようです。美人だけど体格が良くて男っぽい彼女には似合いの役です。
社内SE役で、最初は田辺らの隠蔽資料探しを検出する敵として登場するのが尾野真千子。あまりテクノロジーに強く見えないのを意識してかノーフレーム眼鏡で登場、最近の見慣れた印象とだいぶん違います。言っては何ですが眼鏡は似合っていないかも。
もう一人の主人公、田辺誠一の妻でFMでお悩み相談をしているのが本上まなみです。登場した頃には一気にブレークするかと思ったのですが、それほどでもなく中堅女優に。今回は良い役回りで、独特の癒し系のテイストで好演していました。
対する悪の総帥・ホープ自動車常務は、國村準。温かみのある役が多い人ですが、キャリアを改めて見ていたら映画初主演は「萌の朱雀」で尾野真千子と一緒なのですね。そう言えば、「カーネーション」でも一緒だったし、本作でも。
悪のパートナー、ホープ銀行専務は、西岡徳馬。一本筋の通った正義漢の印象が強いので、國村と密談する姿は新鮮と言うか違和感ありまくりです。
悪の手先の品質保証課長は、相島一之ですが、この人はどうして小悪党をやらせるとこんなに似合ってしまうのだろうと言うくらい良い味を出しています。こういうドラマには欠かせないバイプレイヤーの一人と思います。
原作にはいなかったと思うのですが、國村常務の姪としてミムラが登場して、これが銀行の融資担当者の萩原聖人と婚約していることになり、事件のジレンマの中で二人の関係が揺れ動きます。これはドラマ版の脚本のオリジナルエピソード。どう決着させているかは見てのお楽しみなので書きませんが、ドラマとしては見せますが、池井戸作品にはないテイストなので賛否ある所でしょう。
エンディングのテネシーワルツは、初回は違和感ありましたが回を重ねるにつれて、これで良いと思うようになりました。ドラマとしてのエピソードの区切りが絶妙な位置に置かれているので、そこでテネシーワルツが流れ始めると意味深長に聞こえます。そもそもテネシーワルツの歌詞自体が意味深長なのですが、ビジネスドラマ向けには普通は考え付きませんね。